双语阅读:【青春小说连载】春の夢(163)
小说《春之梦》发表于上世纪80年代,描写的是一位大学生的生活。父亲欠债而死,大学生哲之就流浪、打工,偿还所欠的债务。一只被钉到木柱子上的蜥蜴还活着,一直陪伴着他。还有他的爱情生活也激励着他生活。经过一年的奋斗,终于走出阴暗的生活。
十一(14)
「ガラス、割らんとってや」
と、あるときは三十そこそこに見え、あるとき六十過ぎに見える女主人が言った。足元の、新聞紙で出来たボールを拾い、老人のひとりが、
「このボールでガラスが割れるかいな。なァ、テッチン」
と言った。哲之を幼い頃から知っている人たちは、みんな彼をテッチンと呼んだ。鉄板の上では、一枚のお好み焼きが焼きあがって、まぶされたかつお節がくねっていた。
「早よう食べな、こげるがな」
哲之は、それをもう三人の老人が注文しただけで口にしないのを知っていたが、大声で教えた。老人たちはそれどころではなかった。手の中で扇状(おうぎじょう)に並べた札を目の高さにかかげ、
「坊主は誰が持っとんねや。どうせこの女狐やろ」
とか
「誰か松を出せよ。そやないと赤タンをやられるでェ」
とか言いながら、煙草の灰をまき散らしていた。
「ほな、ぼくとミノルとで食べてええか?」
哲之は老人に訊いた。
「さっき、食べたやないか」
「まあ、十五、六いうたら食い盛りや。なんぼでも食いよるで」
「食べてもええんやな?」
哲之はミノルを呼び、かってにステンレスのコテをふたつ持って来て椅子に坐り、ガスの火を消すと、お好み焼きを半分に切った。ふいに、女主人が老人たちを見つめながら、口紅のいた歯をむき出して笑った。
「あんたら、あと一時間後に死ぬんやで」
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