双语阅读:【青春小说连载】春の夢(68)
小说《春之梦》发表于上世纪80年代,描写的是一位大学生的生活。父亲欠债而死,大学生哲之就流浪、打工,偿还所欠的债务。一只被钉到木柱子上的蜥蜴还活着,一直陪伴着他。还有他的爱情生活也激励着他生活。经过一年的奋斗,终于走出阴暗的生活。
五(11)
「電車に轢かれて死ぬという借金は、どうやったら帳消しに出来る?」
哲之は腹が立ってきた。薄気味悪さの伴った不快感が走った。
「お父さんとお母さんが電車に轢かれて死んだからというて、磯貝さんまでそうなるとは限らんでしょう。磯貝さんは循環器の医者にかかる前に、精神科に行かんとあかん。その方が先や」
そう言ってから、哲之は再び台所に行き、冷蔵庫をあけた。そしてその場に立ったまま缶ビールを飲んだ。汗が一筋、耳の後ろを伝って肩のあたりに落ちて行った。彼はひと口飲むたびに苦しみを増やしていくビールを時間をかけて胃に流し込んだ。大きなゴキブリが足の親指の上を走った。薄闇の中でもそれがゴキブリであることははっきり判った。哲之は流しにあった濡れタオルをそのゴキブリに投げつけ、部屋の方に行かさないよう足で行く手をさえぎった。ゴキブリは羽をひろげて飛んだ。羽音が哲之の廻りを一周した。そして哲之の額にぶつかって床に落ち、冷蔵庫の裏側に逃げて行った。哲之は悲鳴をあげ、慌てて水道の蛇口をひねって、額を石鹸で洗った。
「どうしたんや?」
磯貝の声が聞こえた。哲之は何度も何度も額を洗い、タオルでぬぐってから、
「ゴキブリが飛びよった。俺のおでこにぶつかってきよった。」
と言った。くぐもった笑い声が磯貝の口からこぼれ出て、これはいつまでも止まらなかった。
「ゴキブリが恐いんか」
笑いながら磯貝は言った。
「ゴキブリは恐いことなんかないけど、ゴキブリが飛ぶのが恐いんや。ゴキブリが飛んでぶつかって来よったら、俺、もうどうしようかと思うわ」
「そしたら、蜥蜴が釘つげにされて生きてるのは恐いことないのか」
蒲団に戻り、磯貝に背を向けて、アルコールが血管の中を走り始めたのを感じながら哲之は黙っていた。
「俺は、こんな恐ろしいもん、生まれて初めて見たで。お前が、蜥蜴の体を霧吹きで湿らせたり、ピンセットで餌をやってるのを見てたら、ぞっとしてきた。お前も精神科へ行け。俺だけと違う。どいつもこいつも病人や」
「磯貝さんが見たいというから見せたんや。この蜥蜴が生きてるのを恐ろしいと思うなら、いますぐ俺の部屋から出て行ってくれよ」
磯貝はしばらくの沈黙の後、
「タクシーをつかまえられることまでどのぐらいあるかなァ……」
と訊いた。哲之は住道駅まで三十分はかかるが、駅に行ってももうこの時間だからタクシーが停まっているかどうか判らないと答えた。
「やっぱり泊めてもらうしかないがな」
「それなら、もう寝て下さいよ。俺はきょうは、原因やとか結果やとか、あの世とかこの世とか、死んでは生まれなんてややこしい話なんかしたくないんや。とにかくか寝たいんです、人間が死ぬのは、あたりまえや。そんなことどうでもええんや」
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