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双语阅读:【青春小说连载】春の夢(78)

时间:2011-12-23 14:54:17  来源:可可日语  作者:dodofly


  小说《春之梦》发表于上世纪80年代,描写的是一位大学生的生活。父亲欠债而死,大学生哲之就流浪、打工,偿还所欠的债务。一只被钉到木柱子上的蜥蜴还活着,一直陪伴着他。还有他的爱情生活也激励着他生活。经过一年的奋斗,终于走出阴暗的生活。

六(6)

  「きんちゃん」
  と叫んで、哲之は指先でキンの鼻の頭をつついた。わずかにしっぽが働いた。まだ死んではいない。哲之は大急ぎで窓を開け、扇風機の風をキンに当ててから、氷水を作り、霧吹きで水をかけた。いつもの何倍も冷たい水を吹きかけたので、キンのしっぽの先から幾筋もの水が柱を伝って流れ落ちた。五分たっても、十分たっても、キンは釘で貫かれた体の中心部から上をのけぞらせたままだった。哲之は台所のあちこちを探し回って、やっと一本のストローを見つけ出した。コップに入れた水の中にストローを突っ込み、上の部分を指で押さえた。そしてキンの口の両脇を親指を人差し指で挟んだ。キンの口がかすかに開いた。哲之は少しずつ少しずつキンの口の中に水を落とした。水滴はほとんどキンの喉を通らず、哲之の指を濡らすばかりだったが、それでもごく微量の水がキンの乾涸びた体に浸透していくのか、やがて手の指が働き始め、弓なりにのけぞっていた体が徐徐に真っすぐになって行った。仮死状態だったキンがなんか元気を取り戻したのは、それから一時間近くだった頃で、それまで哲之はストローで口の中に水滴を落としたり、霧吹きで氷水を吹き付けたり、扇風機の角度を変えたりして、何とかキンを甦らせようと思いつく方法のすべてを講じて、台所とキンのいる柱のところを、行ったり来たりしていた。キンが、哲之の差し出すスプーンの中の水を自力で飲めるようになるのに、ただそれから三十分もかかった。

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  「きょうは死ぬほど暑かったし、俺、帰ってくるの、いつもより二時間も遅かったからなァ」
  と哲之はキンに言った。キンは舌で水は飲んだが、クリムシは食べようとしなかった。
  「キンちゃん、コオロギがあるでェ。好物やろ?」
  昼間、セイタカアワダチソウの群落の中を這いずり廻って、やっと一匹捕まえてきたコオロギの長いうしろ足をつまんで、キンの鼻先に持って行った。キンは赤い舌を出したり引っ込めたりするだけで、それも食べようとはしなかった。哲之は、キンがこのコオロギを食べるまで起きていようと心を決めた。
  「井領さん」
  という男の声と同時にドアがノックされた。哲之は自分の顔から血の気がひいて行くのを感じた。小堀の仲間がやって来たのではないかと思ったのである。
  「井領さん、もうお休みですか?」
  その言い方は、ならず者の口調ではなかった。彼は手に持ったコオロギを掌の中に包み込み、
  「どなたですか?」
  と訊いた。
  「警察の者です」
  ドアを開けると、いつぞやの中年の警察がたっていた。

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