双语阅读:【青春小说连载】春の夢(79)
小说《春之梦》发表于上世纪80年代,描写的是一位大学生的生活。父亲欠债而死,大学生哲之就流浪、打工,偿还所欠的债务。一只被钉到木柱子上的蜥蜴还活着,一直陪伴着他。还有他的爱情生活也激励着他生活。经过一年的奋斗,终于走出阴暗的生活。
六(7)
「夜分、すみませんねェ」
「あのォ、蚊が入りますから、どうぞ中に入って下さい」
哲之は言って、警官が上がり口に腰を降ろすと素早くドアを閉めた。
「あれから変わったことはありませんか?あいつの仲間が来たとか……」
哲之は、ないと答えた。すると警官は制帽を脱ぎ、ハンカチで額の汗をぬぐってから、
「あの小堀っちゅう取立て屋ねェ、調べてみると、案の定、余罪がぼろぼろ出てきましてなァ、恐喝、暴行、ブルー?フィルムの密売、そのうえ覚醒剤の運び屋までやっとりました。まあ、七、八年は出てこれませんやろ」
言い終わった途端、警官は眉根に皺を寄せ、怪訝そうに部屋の一角を見つめた。
「あれは何ですか?」
哲之はうっかりキンを隠すのを忘れのだった。見られた以上は、正直に言うしかなかった。
「蜥蜴です」
「蜥蜴……」
「釘で、柱に打ち付けてるんです」
「なんですてェ?」
警官は唖然とした表情を哲之に向けた。こうなったいきさつを、哲之はかいつまんで話して聞かせた。
「これで、ちゃんと生きてますのか?」
「きょうはものすごう暑かったし、ぼくの帰りがいつもより遅かったから、もうほとんど死にかけてたんですけど、いまやっと元気になりました」
「私、こんな、始め見ました」
「ぼくも、なんであの釘を抜いてしまわれへんのか、判らんのです。釘抜きを引っ掛けて、ぐっと力を入れたら、それですむことやのに、抜いたら、あいつ、死んでしまえへんやろうかと思て……」
警官はずっとキンに目をやったまま、
「うちの息子はハムスターを飼うとります。小さいときから動物を飼うのが好きでねェ。そのくせ、猫とか犬とかを飼いたいとは言いよれへん。小学校のときは蛙とスズムシを飼うとりました。高校生のときは、お年玉を貯めた金で、なんとワニの子供を買うてきましてなァ。あんた、なんぼ小そうてもワニはワニでっせ。二カ月ほどで動物園に頼み込んで引きとってもらいました。息子のやつ、四、五日、むくれて口もききませんでした。五万円もしたんや言うてねェ。いまはハムスター。それもつがいやさかい、なんぼでも子供生みよる」
警官が帰ってしまったから、哲之は再びキンの傍に行き、ずっと掌の中に入れていたコオロギを差し出した。キンの舌がなめらかに働き、コオロギを口の中に引きずり込んだ。哲之は、そんなキンを見ているうちに、涙が溢れ出て来た。彼は子供のように声をあげてないた。キンがしなかったことが嬉しくて泣いているのか、陽子が自分以外の男に心を移したことが哀しくて泣いているのか、哲之には判らなかった。彼は泣きながら、昼間したのと同じように、指先でキンの体を撫でた。キンの喉にコオロギの形をしたふくらみがあった。
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