双语阅读:【青春小说连载】春の夢(81)
小说《春之梦》发表于上世纪80年代,描写的是一位大学生的生活。父亲欠债而死,大学生哲之就流浪、打工,偿还所欠的债务。一只被钉到木柱子上的蜥蜴还活着,一直陪伴着他。还有他的爱情生活也激励着他生活。经过一年的奋斗,终于走出阴暗的生活。
七(2)
「へえ、井領。お前、親鸞が架空の人物やと言うんかい。何を根拠にそう思うんや。聞かせてもらいたいなァ」
「俺は歎異抄を否定してるから、親鸞という人間が、生半可なインテリゲンチアにあんまりにも支持されてるのが不思議なんや。じつにどろどろと人間的過ぎるやないか。浄土宗の開祖の法然は、念仏禁止の令で、焼かれた骨を賀茂川に流された。浄土宗としては、どうしてもその歴史上にカリスマ的なシンボルを作る必要があったんや。そやけど法然は死にざまから考えて、その役にはたてへん」
「シンボルには、わざわざ架空の人物をでっちあげんでも、ちゃんと蓮如がおるやないか」
「そうや、その蓮如が、親鸞という架空の人物をでっちあげたんや。蓮如は頭が良かった。自分がカリスマにならんと、親鸞を作り上げて偶像化することで、じつにあざやかに自分をカリスマにした。蓮如は政治家でもあったというわけや」
「なかなか面白い推理やけど、あんまり真顔で人には言うなよ。笑われるぞ」
「まあ、どっちにしても敗北の宗教や。百姓に生まれた人間は一生百姓で、惨めな人生をおくる以外方法のなかったあの時代には、この世でのしあわせなんか望めん、とても地獄は一定すみかぞかしっちゅう言葉は説得力があったやろ。そやから念仏を唱えて、死んだのちに西方十万億土の彼方の浄土でしあわせになれるという思想が栄えたんや。その歎異抄を、人並に生きてる人間が、さも判ったような顔で尊重してるのを見ると腹がたっている。歎異抄は、敗北のひらきなおりの言葉を、哀愁たっぷりの名文で綴った地獄の書や。それをお前は酒とかレコードの代わりにしてるだけや。心のアクセサリーにして、ひとり悦に入ってるんや。つまりは、浄土思想はその程度の思想やというわけや」
中沢は哲之の傍に来て手を差し出した。哲之はその意味をすぐに悟って、さっき借りた金を中沢の掌に乗せた。
「出て行けよ。金を貸してくれた人に言う言葉やなかったみたいやな。敗北か……。栄養不良の死神みたいな顔しやがって、口だけは達者やないか。そのぶんやったら、まだ四、五日何にも食わんでも生きてられるで」
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