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双语阅读:【青春小说连载】春の夢(105)

时间:2012-01-13 14:31:21  来源:可可日语  作者:dodofly

    小说《春之梦》发表于上世纪80年代,描写的是一位大学生的生活。父亲欠债而死,大学生哲之就流浪、打工,偿还所欠的债务。一只被钉到木柱子上的蜥蜴还活着,一直陪伴着他。还有他的爱情生活也激励着他生活。经过一年的奋斗,终于走出阴暗的生活。

八(12)

「私もそう思う。仕事からしりぞき、いなかに小さな住みごこちのいい家を買ったとき、これから新しい人生が始まると思った。しかし、新しい人生とは何だろう。自分は過ぎ去った人間だという考えが、すぐに私の心の中に生まれた。私は貧しい家に生まれた。高等学校を卒業して、印刷工になった。途中、大きな戦争があり、私はフランス軍やイギリス軍と戦った。私は見届けていないが、私のうった弾は、きっと何人かの人間を殺したことだろう。ドイツは敗れ、苦しい時代が長くつづいた。そんな頃、妻と知り合った。私たちは一緒に暮らし始めた。そのうち、元の印刷会社が再建され、私はそこに戻った。十年間、真っ黒に汚れて活字をひろった。やがて機械が私の仕事を奪った。私は自分の可愛い息子に、医者か弁護士になるような強要した。人間にしか出来ない仕事、そして人から尊敬される仕事につけたかったからだ。息子は反撥した。息子はコックになりたいと言った。だが私は許さなかった。そんなに多くない収入を削って、息子に家庭教師をつけた。いま考えると、息子はなんと柔順(じゅじゅん)だったことだろうと思う。不満を抱きながらも、息子は私の夢を叶えてくれた。しかし、それは私の夢だったのだ。息子の夢だったのではない。息子が恋人をつれて来たとき、私も妻もその娘を気にいらなかった。しかし私は、せめて自分の妻を選ぶ自由ぐらいは与えてやるべきだと思った。弁護士という仕事も、妻も、息子にはそぐわなかったようだ。弁護士という仕事をまっとうするには、息子は善人で温和し過ぎた。仕事が、息子の心を痛めた。美しいが贅沢好きで見栄っ張りの妻のヒステリーが、息子を酔っ払いにした。息子は強い酒を飲み、そのたびに私に、自分はいまでもコックなりたいと思っているんだと怒鳴りちらす。酒を飲まないと、怒鳴ったり出来ない人間なのだ。ある日、私は息子に言った。もう逢わないようにしよう。そのときは本心だった。息子は私たちのもとにこなくなった。そのとき私と妻は七十六歳になっていた。新しい人生なんかなかった。もし新しい人生を求めようと思うなら、死ぬしかないだろう。いつしかそんなふうに考え始めた。ことしの春、子供の頃からの友人がふたり、時をあわせるようになくなった。それは私に何かをせきたてた。寂しい老人がたくさんいる。彼等はただ待っているだけだ。私は待つことが恐くなってきた。待っているよりも、自分からそこに行こうと思った。妻は恐がった。しかし私は説得した。もう充分に生きた。どちらかが死んだら、どちらがひとりぼっちになる。その方はもっと恐いことではないかと」

哲之は、今頃、店の掃除しているであろう母のことを思った。母の弱い体を思った。それで、沢村千代乃が自分に声をかけて来たのに気づかなかった。陽子に教えられて、彼は慌てて沢村千代乃の顔を見た。
「ホテルに電話し、きょうはラング夫妻は京都に泊まるって伝えて下さい。また騒々しい大阪に帰るより、今夜はここでゆっくりなさっていただきましょう」
ラング氏は大きな身振りで辞退したが、沢村千代乃、
「迷惑をかけたんだから、私の言うとおりにする義務がありますわよ」
という微笑のこもった言葉で、初めて悄然と肩を落とした。哲之は電話よりも、直接ホテルに行って、そっと事情を島崎課長に説明する方がよさそうな気がした。彼は自分の考えを沢村千代乃に言った。
「御面倒だけど、そうしていただいた方がよさそうですわね」
哲之と陽子は沢村家の門を出て坂道を下がり、タクシーを停めた。タクシーの中で、陽子は頭をぐったりと哲之の肩に凭せ掛けた。いつものオーデコロンの匂いは、日向の匂いに変じていた。哲之は陽子を抱きたくなった。我慢出来なくなった。いつもそんなとき使うふたりだけの暗号を口にした。
「キンちゃんが呼んでる」
きっと、とんでもないとはねつけられるだろうと思ったのに、陽子は、
「うん、かめへん」
と呟いて、哲之の人差し指を握った。
「夕方までに、大阪に着いたらええんでしょう?」
陽子はしょんぼりと、だがはっきり自分もそれを求めていることをしめす、わざと舌たらずな言い方をしてみせた。

夜になると、家々の屋根や並木(なみき)に何色もの光を投(とう)じるのであろう連れ込みホテルのネオン塔が、街並の向こうに突き出ていた。哲之はタクシーの運転手に止まってくれるよう言った。
「河原町までと違いますのか」
運転手はわざと急ブレーキをかけて車を停め、バックミラー越しに哲之意を睨んだ。
「すみません。このへんに、友だちの家があるのを思い出したんで」
どこで降りようと客の勝手ではないかと思いながら、哲之はそう弁解して料金を払った。人々の心は、なぜこんなにも殺伐としているのだろう。街は汚れ、騒々しく、みんな怒りっぱく、いらいらしている。ちぇっと舌打ちして釣り銭を渡し、車を急発進させて遠ざかっていく運転手の、決して幸福そうではなかった顔を脳裏に描きつつ、哲之は陽子を見やった。

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