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双语阅读:【青春小说连载】春の夢(119)

时间:2012-02-03 14:29:26  来源:可可日语  作者:dodofly

提要:哲之关掉红外线灯,来到那妇人的门前。那妇人可怜的非常瘦,走路也那么不灵活,两手也肿着弯曲着。在美丽整齐的房子里,充满了熬药的味道,有一只猫蜷曲在红色的坐垫上。

九(6)

部屋の明かりをつけると、キンが四肢をばたつかせた。けさも出がけに三十分間赤外線を当ててやったら、元気を取り戻したのかもしれないと思った。彼はキンの頭を指で軽くつつき、赤外線ランプのスウィッチを入れた。ドアをノックする音が聞こえ、哲之ははっとして体を硬くさせたまま、
 「はい」
 と応じた。夜半にドアがノックされると背筋に鳥肌が立つのは、哲之のどうにも自分では調節出来ない条件反射になっていた。
 「隣の倉地(くらち)です。遅くにすみません」
 かぼそい女の声がした。彼はドアをあけず、台所の窓から顔を出した。隣室のひとり暮らしの婦人は、こんなに遅く申し訳ないが、少し手を貸してもらえないかと言った。
 「何でしょうか」 
 「冷蔵庫が倒れてしもて、私の手ではおこされてしませんねん」
 哲之は赤外線ランプを消し、婦人の部屋の前に行った。婦人は気の毒なくらい痩せていた。歩き方もぎごちなく、両手首が腫れて曲がっている。きれいに整頓された部屋には、煎じ薬の匂いがたちこめ、猫が一匹、赤い座蒲団の上で丸まっていた。新しい食器棚を買ったが、適当な置き場所がなく、いままで冷蔵庫の置いてあったところに納めて、冷蔵庫をコンロの横に移そうと思った。ところが、冷蔵庫についている車が錆びついて働かず、強く押した途端、倒れてしまったのだ。婦人は遠慮深げにそう説明した。そんな大きな冷蔵庫ではなかったので、哲之は婦人に手伝ってもらわなくても、それもひとりで起こすことが出来た。彼は腰をかがめ、冷蔵庫の下の部分を押してコンロの横に移してやり、ついでに食器棚を、冷蔵庫のあった場所に納めた。婦人はビー玉みたいな目をしばたたかせて何度も礼を言った。哲之が辞退しているのに、お茶を入れ、みずやからクッキーを出して丸い食卓に乗せた。仕方なく、哲之は婦人の差し出す座蒲団に坐り、クッキーには手をつけず、茶だけすすった。
 「何の漢方薬を煎じてはるんですか?」
 と訊いてみた。婦人は、もう十年近くリューマチで悩んているのだと答えた。そして、井領さんの郷里はどこか尋ねた。哲之を、どこか地方から大阪の大学に通うために出て来た学生だと思っているらしかった。
 「大阪生まれの大阪育ちです」
 哲之はそう言うと、婦人はそれ以上は質問してこなかった。少しためらった後、婦人は白い猫を見つめながら、
 「うちの猫、井領さんの部屋で、うんちなんかしたりしませんでしたやろか」
 と言った。
 「ぼくの部屋で?」
 「夏、ときどき、井領さんの部屋の裏窓から出て来るのを見たんです。この部屋から水道管を伝うて、井領さんの部屋に入ってみたいで……」
 哲之はこの夏、帰って来るたびに、キンがひからびてぐったりしているのを見て、思い切って裏窓を開いたまま出掛ける日があった。泥棒が入っても、盗まれて惜しいようなものは何もなかったからだった。
 「いえ、そんなことはいっぺんもありませんでしたよ」
 そう答えた瞬間、この猫は、キンを狙って俺の部屋に入ったのだと気づいた。裏窓を開けたまま出かけたのは、ざっと思い浮かぶだけで合計二十回ぐらいだった。そのたびに、キンは恐怖におののいたことだろう。哲之はそう思うと、胸苦しくなった。彼は自分の部屋に戻り、赤外線ランプを灯してから、ちょうど自分の頭の位置にいるキンを見やった。猫は何度も何度も、キンを狙って飛びあがり、柱に爪をたててよじ登ろうと試みたに違いなかった。柱に目を凝らすと、確かに幾筋もの爪跡らしきものが残っていた。自分の知らないときに、キンは身働き出来ないまま、猫の執拗な攻撃になす術もなく耐えていたのだ。キンはどんなに恐かったことだろう。そう考えたひょうしに、「君は心優しきエゴイストなり」という男の言葉が甦った。それはさまざまな罵倒のつぶてと化して、哲之を打った。キンの恐怖が哲之の心に観応した。哲之は、柱に釘づけにされたキンになった。裏窓から、あの白い猫が入って来た。哲之は逃げようともがいたが、どうすることも出来なかった。猫の爪は、自分のしっぽのすぐ近くまで伸びた。やがて、柱に爪をたてて猫は迫って来た。猫は滑り落ち、また飛びあがり、また柱をよじ登った。猫があきらめて去ったあと、哲之は自分を柱に釘づけにした男を憎んだ。そうしておいて、水をくれ餌をくれる男を憎んだ。だが自分は、その男から水をもらい餌をもらうしかないだった。むせかえる部屋の中で恐怖と乾きに苦しみつつ、それでも死ねない自分のことを考えた。自分はそうして生きて家うのだろうと。

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