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双语阅读:【青春小说连载】春の夢(140)

时间:2012-02-22 14:38:37  来源:可可日语  作者:dodofly

提要:宾馆房间里有暖气,哲之的嗓子很干燥。他从冰箱里拿出罐装啤酒,在床上喝起来。阳子俯卧着托着腮,看着哲之。

十(11)

と言った。哲之の手を自分の肩のところに移させ、また寝ったみたいだったが、やがて目を閉じたまま、
「寝られへんの?」
と訊いた。
「うん」
「ほんとに芯から疲れてるのよ」
「神経が疲れてるからや。ビールでも飲もうかな」
ホテルの部屋は暖房がきいて、哲之は実際に喉も乾いていた。彼は冷蔵庫から缶ビールを取り出し、ベッドの上で飲んだ。陽子はうつぶせになり頬杖をついて、哲之を見つめた。二、三口飲むと、哲之は陽子を仰向けにさせ、
「また釘を打たせてくれよ」
と言った。
「そしたら寝られるから」
「もうちょっとロマンチックな言い方ないの?」
そう言いながらも、陽子は受け入れる体勢をとっていた。そしたら寝られるからと言ったのは口実だったが、終わってビールを飲み干すと、哲之は本当に心地良い眠りに落ちていった。
哲之と陽子が阪急電車で梅田駅に帰って来たのは十二時ごろだった。ふたりは駅前の高層ビルの五階にある珈琲専門店に入った。椅子に坐るなり、陽子は声をひそめて言った。
「私、子供が出来たらいいのになァって思ってるの」
陽子の言葉の意味しているものは、哲之にはすぐ判った。彼はいずれは陽子の父と逢って、結婚の承認を得なければならず、相手にはまったくその気がなかったのである。陽子の父とはこれまで四、五回顔を合わしたが、哲之を快く思っていない素振りをあからさまに示した。それは、よくある父親の、娘を盗りに来た男への不愉快さというには少し不適当な口調や顔つきだった。哲之には、それはあきらかに軽蔑が何によってもたられているかを、哲之はちゃんと察しがついたから、彼は彼までまた陽子の父を軽蔑していたのである。母はキタ新地の小料理屋で働いていてななぜ悪い。俺が、ホテルのボーイのアルバイトをして大学へ行っているのがなぜ悪い。母と俺が、父の借財(しゃくざい)を背負わされていてなぜ悪い。哲之は、娘を嫁にやる父親の気持を、彼なり理解したうえでなおそう思うのだった。陽子の父が、父として、そんな哲之に難色を示すのは当たり前だった。だが陽子の父は難色を示すだけでなく、哲之を、哲之の境遇(きょうぐう)を、さげすんでいたのである。哲之は、大学を卒業したらすぐにも、陽子の父に礼を尽くして明確な意思表示をするつもりだった。

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