双语阅读:【青春小说连载】春の夢(144)
小说《春之梦》发表于上世纪80年代,描写的是一位大学生的生活。父亲欠债而死,大学生哲之就流浪、打工,偿还所欠的债务。一只被钉到木柱子上的蜥蜴还活着,一直陪伴着他。还有他的爱情生活也激励着他生活。经过一年的奋斗,终于走出阴暗的生活。
十(15)
哲之は磯貝を見つめた。遠くの空に、凧が三つあがっていた。何か励ましの言葉はないかと考えているうちに、哲之はどうでもよくなってきて、無言で部屋の鍵をかけた。帰って欲しかった。死にたきゃ、死にやがれ。俺には何もしてやれないんだ。そう思った。磯貝は、部屋の壁に凭れて座り込んだ。そうやってキンに視線を注いでいた。キンのしっぽが、ゼンマイの切れかけた時計の振子みたいに働いた。試しにクリムシを口元に持って行ったが、キンは食べなかった。哲之は押入れから蒲団を出して敷いた。そしてパジャマに着換え、
「俺、眠たいから寝るで」
と言った。
「その蒲団、女の匂いがするな」
磯貝に薄く笑みを浮かべたが、目は柱のキンに向けていた。きのうの昼、確かに陽子はこの部屋には入ったが、哲之を寝かせて自分は台所を片づけたり、小型のノートに卒論に関する事項を書き付けたりして時を過ごしていた。だから、陽子の匂いが蒲団にしみついている筈はないのだが、磯貝の精神はぎりぎりのところまで過敏(かびん)になっているのだろう。哲之はそう推測して、
「疲れたら、誰もみな虚無的になるよ。休んだら、また元気を取り戻すから」
と言った。
「俺の心臓は、人並に働くためだけで、人が何時間も重労働をするより労力を使うんや。じっとしててもそうなんや。働くことも、遊ぶこともでけへん。いっそ、そう停まってくれたらええんや」
哲之は蒲団を頭からかぶって目を閉じた。
「もう何もかもいやになった。ほんとに、いやになったよ」
陽子の前に、自分以外の男があらわれたとき、俺もキンにそう言って話しかけたな。哲之は何カ月か前の夜を思い出した。蒲団から顔を出し、ズボンのポケットにしまってある部屋の鍵をつかむと、哲之は磯貝の横に置いた。
「俺は寝るから、帰るときは鍵をかけていってくれ。鍵はドアの下の隙間から中へ突っ込んどいたらええよ」
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