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双语阅读:【青春小说连载】春の夢(162)

时间:2012-03-28 13:42:13  来源:可可日语  作者:dodofly

小说《春之梦》发表于上世纪80年代,描写的是一位大学生的生活。父亲欠债而死,大学生哲之就流浪、打工,偿还所欠的债务。一只被钉到木柱子上的蜥蜴还活着,一直陪伴着他。还有他的爱情生活也激励着他生活。经过一年的奋斗,终于走出阴暗的生活。

十一(13)

金目の物など何もなかった。哲之は顔面の激痛に呻き声を洩らしながら、やっとの思いで首を横に振った。病院に運んでほしかった。このまま放っておかれたら、自分は死ぬ。そう思っただった。けれども声が出なかった。哲之は男の太い肩をつかもうと腕を伸ばした。その腕には、陽子から貰った古いロレックスの時計がほめられてあった。男は、哲之が金目の物として時計を示したと誤解したようだった。男は時計を奪った。
「古い時計、ロレックスか……」

抗う力は、哲之にはなかった。やがて、クレーンの音に似た響きが遠ざかり、物音ひとつ聞こえなくなった。右足が痺れていた。彼は右手で畳を叩いた。誰でもいい、助けてほしい。アパートに住む誰かが、畳を叩く音を不審に思って、部屋を覗いてくれはしないものか。そう考えたのである。しかし、その音は哲之の脳髄には耐えられぬほどの震動であったが、実際は四つに折った新聞紙を落とすよりも小さな音しか立ててはいなかった。彼はまた光も音も温度も感じなくなった。

彼は灯の消えた商店街の真ん中で野球をやっていた。野球といってもバットは竹箒の柄で、ボールは新聞紙を丸めて、それをセロテープでぐるぐる巻きにしたものだった。ミノルがボールを投げた。哲之は打った。バウンドしない球は転がって、わずか二十センチばかり開いていた戸の隙間から「満月」というお好み焼き屋の中に入ってしまった。哲之はそっと「満月」の中を窺った。三人の老人が、店の女主人を相手に花札をやっていた。その三人の老人は、いつも夜になると「満月」に集まって花札をし、いつも女主人にマモられている。

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