1996年日语能力考试一级真题及答案
問題用紙
19961級
読解・文法
(200点 90分)
問題Ⅰ 次の文章を読んで、後の問いに答えなさい。答えは、1・2・3・4から最も適当なものを一つ選びなさい。
旅に出るときカメラは一応持って行くけれど、実際に写真を写すことは少ない。
大袈裟な主義主張があるわけではないけれど、私にとってはカメラは邪魔になることのほうがはるかに多い。その理由は----
カメラを持っていると、どうしても写真が撮りたくなる。いや、撮りたくなるというより撮らなければいけないような義務感が心のなかに生ずる。
----「 A 」------
と思って感銘(注1)した次の瞬間、
----「 B 」-------
そんな意識が脳裏(注2)に蠢いて、これがわずらわしい。
そればかりではない。いったんシャッターを押してしまうと、
-----「 C 」-------
といった気分が心を占め、眼の前の佳景(注3)をしっかりと観賞し、記憶に留めおくという作用がどうしても甘くなる。中途半端にながめて、あとは後日写真ができあがったときに委ねて(注4)しまおうという心理が働く。
これがどうも風物を観賞するうえで間違った道のような気がしてならない。
私自身が入江泰吉(注5)さんとか浅井慎平さんとか、一流カメラマン並みの撮影技術を持っているのならよいけれど、実力は安いカメラでスナップを写す程度のもの。あとでできあがった写真は絵葉書にも①遠く及ばない。結局のところ、景色をろくに見なかったこととさして(注6)変わりがない。そんなことなら初めからカメラなど当てにしないほうがいい。数年前にそう悟って、以来めったに写真を撮らなくなった。
カメラがないとなると、観賞法そのものもおのずと厳しくなる。②余計なことを考えずにすむから、心ゆくまで(注7)賞味することができる。
しかも、これから先に述べることは自分でもはっきりと断定できない微妙な心の作用なのだが、カメラがなければまのあたりに見たことをハーフ・メードの形で文章化しておくという仕事も、無意識のうちでやってしまうようだ。
-------この風景を小説の中で描写するとしたらどう書くだろうか--------
頭の片すみでそう考え、完全に文章化することまではしないカくなにかしら頭の中に文章に近い形に変えて貯蔵するようになる。
ハーフ・メードというのは、その言葉の語義から言って50パーセントほど製品化することだろうから、私の場合はとてもそこまではやらないけれど、10パーセントか20パーセントくらい ( ③ )を自分の表現に変えて脳裏に記録するところがあるようだ。これがあとで小説やエッセイを書くときに役に立つ。
④こんな作用は一般の人々にはあまり必要なことではあるまいが、旅先で写真を撮るこどにばか り夢中になっている人を見ると、 --------あんなことで風物をよく観賞することができるのだろうか------
と、不思議に思わないでもない。
(阿刀田高『左巻きの時計』新潮文庫による)
(注1)感銘:深い感動
(注2)脳裏に蚕く:頭の中
(注3)佳景:いい景色で動き出す
(注4)委ねる:任せる
(注5)入江泰吉、浅井慎平:有名な写真家
(注6)さして:それほど
(注7)心ゆくまで:気が済むまで
問(1)( A )( B )( C )に入る組み合わせとして、最も適当なものを選びなさい。
1.
(A)いい景色だなあ
(B)うん、これでいい
(C)ああ、そうだ。写真に写しておかなくちゃあ
2.
(A)ああ、そうだ。写真に写しておかなくちゃあ
(B)いい景色だなあ
(C)うん、これでいい
3.
(A)うん、これでいい
(B)ああ、そうだ。写真に写しておかなくちゃあ
(C)いい景色だなあ
4.
(A)いい景色だなあ
(B)ああ、そうだ。写真に写しておかなくちゃあ
(C)うん、これでいい
問(2)①「遠く及ばない」とはここではどういうことか。
1.写真も絵葉書も実際の景色のすばらしさにはとてもかなわないこと
2.自分で撮った写真より絵葉書の方がはるかにすぐれていること
3.自分のカメラでは絵葉書のように遠くの景色がうまく撮れないこと
4.絵葉書よりも自分で撮った写真の方がずっと価値があること
問(3)筆者は自分の撮影技術をどのように思っているか。正しいものを選びなさい。
1.カメラなど持つ資格はない。
2.それほど上手だとはいえない。
3.絵葉書の写真程度には写せる。
4.かなり高い撮影技術を持っている。
問(4)②「余計なこと」とはどのようなことか。
1.景色を十分に味わわなければならないということ
2.景色をしっかり記憶しなければならないということ
3.景色を写真に撮っておかなければならないということ
4.景色を文章で表しておかなければならないということ
問(5)( ③ )に入る適当なことばを選びなさい。
1.写した写真 2.頭の片すみの文章 3.眼で見たもの 4.微妙な心の作用
問(6)④こんな作用とはどのようなことか。
1.風景をある程度文章にして記憶すること
2.風景を深く観賞し、記憶に留めること
3.風景をテーマに小説やエッセイを書くこと
4.風景の写真を撮ることに疑問を感じること
問(7)筆者にとってカメラのない旅の利点は何か。
1.写真の代わりに文章の形で残るので小説などの作品がふやせること
2.無意識のうちにハーフ・メードの文章を書く技術が進歩すること
3.一流カメラマン並みに写真を撮れたかどうか心配しなくてもいいこと
4.風物を十分観賞できるうえに、ある程度文章化して記憶できること
問題II次の文章を読んで、後の問いに答えなさい。答えは、1・2・3・4から最も適当なものを一つ選びなさい。
仕事のことで、あなたは同僚の村山氏に助けを求めた。村山氏は自分の仕事を犠牲にして、時間もお金も使って助けてくれた。しかし結果は、あなたの窮状(注1)をわずかに救ってくれたにすぎない。他方、あなたは小沢氏にも助けを求めた。小沢氏は電話一本で、窮状を救ってくれた。さて、あなたは二人のどちらにより強い恩義を感じるだろうか?
対人心理学では、恩義 (注2)の強さはコストとあなたが得た利益で決まると考える。
コストとは、相手があなたを助けるために費やした時間やお金、もろもろの犠牲のことである。利益もお金や物とは限らない。地位や名誉、失わずにすんだ面目の場合もあるだろう。
コストや利益が何であるにせよ、恩義はコストが( a )ほど、また利益が( b )ほど、強く感じる。恩義の強さは、コストの量と利益の量の( c )で決まるというのである。
「恩や義理は、日本人の人間関係の根幹(注3)にかかわる問題だ。それを①コストだ利益だなどというのはけし(注4)からん」と思う人もいるだろう。( d )、「恩を売ったり」「借りを返したり」、 見舞いの半返し(注5)をしたり……②日本人の人間関係だって意外と計算高い。
そこで、冒頭の話をこう言い換えてみよう。
村山氏の払ってくれたコストが( e )、彼がもたらした利益を( f )とすると村山氏には11の恩義が生じる。小沢氏の支払ったコストは( g )、もたらされた利益がhとすると小沢氏にも11の恩義が生じる。同じ値になったとき、実感として、あなたはどちらに強い恩義を感じるだろうかというのが当方(注6)の問いだったのである。
この問いに対して、アメリカの心理学者は、小沢氏の方に強い臓を感じると言っている。結果が重要だということであろう。ところが、日本人を対象として検討したところ、( i )という結果が出た。
どうも日本人は、結果もさることながら、助けてくれるために多くのコストを支払ってくれたという事実を重んじて、恩義を感じるようである。
(相川充「OL・サラリーマン行動学⑤」1994年3月12日付朝日新聞夕刊による)
(注1)窮状:非常に困った状態
(注2)恩義:恩と義理、人から受けた親切に感謝し、いつかお礼をしなければならないと思う気持ち
(注3)根幹:基本、基礎
(注4)けしからん:許せない
(注5)半返し:贈られた金や品物の半額に当たるものを相手に返すこと
(注6)当方:私
問(1)( a )( b )に入る言葉の組み合わせとして正しいのはどれか。
1.a 小さいb 大きい
2.a 大きいb 小さい
3.a 大きいb 大きい
4.a 小さいb 小さい
問(2)( c )に入る最も適当な言葉はどれか。
1.割り算 2.引き算 3.暗算 4.足し算
問(3)①コストだ利益だなどというとあるが、ここではどういうことか。
1.コストや利益はつまらないことだということ
2.コストや利益と いうような概念で考えること
3.コストや利益という言葉の意味を考えること
4.コストと利益のどちらが重要か考えること
問(4)( d )に入る最も適当な言葉はどれか。
1.だから 2.それに 3.いわゆる 4.しかし
問(5)②「日本人の人間関係だって意外と計算高い」とあるが、「計算高い」人間関係が存在する社会とはどのような社会か。
1.恩や義理などが計算の対象となりうるものだと考えるような社会
2.恩や義理を売ったり返したりすることで非常に金がかかるような社会
3.計算が得意か不得意かということが人間の評価と関係するような社会
4.自分の金と時間を犠牲にしてでも他人を助けようとするような社会
問(6)( e )~( h )に入る数字の組み合わせとして正しいのはどれか。
1.e:1 f:10 g:10 h:1
2.e:10 f:1 g:1 h:10
3.e:10 f:1 g:10h:1
4.e:1 f:10 g:1 h:10
問(7)( i )に入る言い方として最も適当なものはどれか。
1.村山氏にはそれほど恩義を感じない
2.小沢氏にも同じくらい恩義を感じる
3.村山氏の方に強い恩義を感じる
4.小沢氏には恩も義理も感じない
問題Ⅲ次の(1)~(6)の文章を読んで、それぞれの問いに対する答えとして最も適当なものを1・2・3・4から一つ選びなさい。
(1)今日ほど「労働」が見失われている時代はあるまい。働くなかで仕事や人に教えられ、ある いは人と力を合わせて働くこと、また働いた成果で社会と結ばれていることを実感し、それら によって自分の働きの意味と生きていることの意義を確かめられる、そういったことから私たちはしばらく無縁(注)でいる。「労働の喜び」といった表現がひどく古めかしく感じられるほど、「労働」は私たちの生活から遠ざかっている。
(森清『ハイテク社会と労働』岩波新浮による)
(注)無縁:関係がないこと
問(1)『労働』が見失われている時代とは、どのような時代か。
1.労働する場が減って、失業が増えている時代
2.古くから社会にある仕 事が忘れられている時代
3.労働することの意義が実感できなくなった時代
4.個人の楽しい生活を仕事とは分けて考える時代
② コンピュータは他の機械とは本質的にちがっている。普通の機械はそれぞれ固有の目的のために作られていて、その他の目的のためには使えない。これに対して、コンピュータは計算をするだけでなく、他のいろいろな機械の働きを模擬する(注) ことができる。そこでコンピュータは人間の知的活動を模擬することができるのではないかと考えて、これを人工知能研究と名づけ、 人間への挑戦が始まった。
(長尾真『入工知能と人間』岩波新書による)
(注)模擬する(やや特別な使い方):まねをする
問(1)人間への挑戦というのは、どのような意昧か。
1.入間の能力とどちらが優れているか競争すること
2.機械を支配する人間から自立する戦いをすること
3.人間が持つ知能の働きに近づけようとすること
4.他の機械の働きも入れて人間の能力以上になること
(3) 「太田さん、①変わりませんね」
(中略)、四年ぷりにホテルのティー・ルームでお会いした編集者のAさんからそのようにいわれた時、わたしはみた目のことをいわれたのだと思って、自然ににっこりした。
「Aさんも、お変わりありませんわ」
ダーク・グレイ(注)のスマートな背広姿は、四年前と変わりがなかったが、その髪にはいくらか白いものが目立つようになったなと思いながらそういったのである。
「いや、ちょうど十五分、遅刻したところがですよ」
Aさんは眼鏡の奥の眼をいたずらっ子の少年のように、わざと大きくしながらいわれた。私は、②しばらくの間顔を上げることができなかった。
(太田治子『気ままなお弁当箱』中公文庫による) (注)ダーク・グレイ:濃い灰色
問(1)①「変わりませんね」とあるが、Aさんは何が変わらないと言ったのか。
1.人と会うときは「お変わりありませんね」と言うこと
2.約束の時間にいつもちょうど十五分だけ遅刻するくせ
3.四年前に会ったときの見た目と今回会ったときの見た目
4.人と会うときはいつも外観のことばかり気にするくせ
問(2)②「しばらくの間顔を上げることができなかった」とあるがそれはなぜか。
1.Aさんのいたずらっ子の少年のような眼がとても面白かったから
2.約束の時間に十五分も遅れたことをはずかしいことだと思ったから
3.Aさんのダーク・グレーの背広姿があまりにスマートに見えたから
4.Aさんが言った言葉を自分が誤解していたことに気がついたから
(4) 次の文章は、下のグラフを説明したものです。
日本人の日常生活で一般的に使用される電気製品や自動車の購入価格はどのように変化して いるだろうか。グラフを見てその変化と理由を検討してみよう。このグラフは1980年の購入価 格を100としたときの毎年の購入価格を表したものである。( a )は、1987年を境に購入価格が急速に上昇したが、1989年からはあまり変化していない。その理由としては1988年頃、CDプレーヤーがついて価格が上がったためと考えられる。 ( b )も同様に1987年頃から 大幅に価格が上昇しているが、1991年を頂点にそれ以後下降に転じている。これは大型化によ る価格の上昇とその後の消費者の大型離れが影響していると考えられる。1985年から統計をとり始めた( c )を見ると、購入価格は少しずつ上がってきたが、1992年以後、やや下降し始めている。 ( d )も、1983年から次第に上昇し、さらに1993年には大きく購入価格が伸 びている。その理由は、輸入が増加したからである。
(グラフ:家計消費研究会編『家計簿からみたニッポン1994』による)
問(1)グラフを見て、文章中の(a )(b )(c )(d )にはそれぞれ何が入るか、次の組み合わせの中で正しいものを選びなさい。
1.a:テレビ b:テレビ c:ビデオテープレコーダー d:自動車
2.a:テレビ b:ビデオテープレコーダー c:ビデオテープレコーダー d:テープレコーダー
3.a:テープレコーダー b:テープレコーダー c:自動車 d:自動車
4.a:テープレコーダー b:テレビ c:自動車 d:ビデオテープレコーダー
(5) 次の文は、文化の定義について述べたものである。
まず、ドイツ流の使い方では、一般に「文化」と「文明」とを区別し、文化は精神的・理想的な価値の実現としてとらえられ、哲学・宗教・科学・芸術など、民族の生みだした高度の精神的所産を、一方文明は、技術的・物質的・実際的所産(注1)を意味している。これに対して英米流 の文化概念では、芸術作品など、人間の高度な精神的所産から食事作法などの日常的な生活習慣まで、きわめて包括(注2)的にとらえられている。文化と文明とを区別することがっもない。したて、木皮や獣皮(注3)でつくられた腰蓑(注4)も、漱石(注5)の文学やモーツァルトの音楽も、さらには子どもの育て方や夫婦関係のあり方までもすべて文化とみなさ れる。したがってこの立場では、文化のない社会は考えられないし、文化をもたない人間もいないということにくる。
(野口英子「パーソナリティ・文化・社会」,鈴木広編著『現代社会を解読する』ミネルヴァ書房による)
(注1)所産:何かが行われた結果、生まれでてきたもの
(注2)包括:関係があるものを全部一つにまとめること
(注3)獣皮:動物の皮
(注4)腰蓑
(注5)漱石:明治・大正時代の文学者
問(1)文中に述べられたドイツ流の考えでは、文化と文明はどのように分けられるか。次の中から正しいものを選びなさい。
1.漱石の文学モーツァルトの音楽 / 木皮や獣皮で作られた腰蓑子どもの育て方・夫婦関係のあり方
2.木皮や獣皮で作られた腰蓑子どもの育て方 / 漱石の文学・モーツァルトの音楽夫婦関係のあり方
3.漱石の文学・モーツァルトの音楽、子供の育て方・夫婦関係のあり方 / 木皮や獣皮で作られた腰蓑
4.漱石の文学・モーツァルトの音楽、夫婦関係のあり方 / 木皮や獣皮で作られた腰蓑子供の育て方
(6) 下のA ~ Dは 、 それぞれア 、ー イ 、 ウ 、 エのどこかに入る文です 。 いままでの生物学というのは 、 もっぱら種レベルの生物学であった。 ( 中略 ) では 、 種レベルの行動と個体レベルの行動とは 、 そもそも( 注1 )のはじめから異質(
- 相关热词搜索: 1级真题
- 上一篇:1997年日语能力考试一级真题及答案
- 下一篇:1995年日语能力考试一级真题及答案
相关阅读
- 2006年日语能力考试一级真题及答案08-16
- 2005年日语能力考试一级真题及答案08-16
- 2004年日语能力考试一级真题及答案08-16
- 2003年日语能力考试一级真题及答案08-16
- 2002年日语能力考试一级真题及答案08-16
- 2001年日语能力考试一级真题及答案08-16