日语报刊讲义 第1期 日本的な仕草
日本的な仕草
仕草。ちょっとした仕草で、日本人だなあとわかることがある。
中国黒龍省へ残留孤児の取材に出かけた。53歳の男性。知恵遅れと判定され、訪日調査に参加できない。手がかりの物証はなく、記憶も乏しい。
到着した夜、妹らも交えてシャブシャブを食べた。窓の外は白雪、氷点下十数度に。宴酣のころ、孤児がひょいと立ち上がり、食卓のビール瓶を片付けだした。ビンのそこに残ったビールをもっと残っているビンに移し始めた。
あ、これは自分の子供のころと同じだと思った。まだビールが高価だった昭和20年代の幼児期、母親や自分が残ったビールを「もったいない」と移した記憶がある。
今では、まずくなるので、とてもできない芸当だが。
「そんな真似は中国人はやらない」
事情を説明すると妹らは笑った。食料の豊かになった中国では、もはやビールはぜいたく品ではない。
しかし、孤児の頭の中には五十年近く昔の移しのみの仕草が刻み込まれていた。
これもぴんときた。すぐ台所から卵を持ってきてもらった。孤児は端で卵の頭に穴を開けると、一気に啜った。
中国人が皆ポカーンとしていたので、「私の子供の頃も、親父が滋養があるぞと病気などのとき、生卵を飲ませてくれたものだ」と説明した。すると、お前も飲め、と孤児が言い出した。
北京へ赴任して一年半余、肝炎が心配で、生卵は納豆のときぐらいしか食べない。しかし、孤児のたっての頼みとあらばと、一気に啜った。醤油もなく生卵だけを飲んだのは、数十年ぶりだ。生温かい味覚とともに、今は亡き親父の顔が一瞬どこかを横切った。
6歳の夏に捨てられた孤児。父親はちょび髯だったという。その胸に去来する親父像はどんなものか。
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