「利用」松は日本の山野のいたるところに自生し、観賞、実用の両面で日本人の生活と切っても切れないものとなっている。岩手、群馬、福井、岡山、山口、島根、愛媛、沖縄の各県が県の木に指定しているのを見てもそれはわかる。日本に自生するのは、黒松（くろまつ）、赤松（あかまつ）ゴヨウ松など7種。植林、庭園樹、盆栽のほか、材は土木、建築、器具、パルプ用として広く用いられる。

日本の風景に松は欠かせない。白砂青松（はくしゃせいしょう）の舞子の浜（兵庫県）、羽衣（はごろも）伝説の三保（みほ）の松原（静岡県）、虹の松原（佐賀県）の三大松原をはじめ、松の名所、歌枕は多い。ただ最近は開発や松食い虫の被害によって、昔の面影をとどめているところが少なくなった。