双语阅读:《福尔摩斯之银色马》第5回
タヴィストックの小さな市(まち)へ着いたのはもう夕方であった。タヴィストックはまるで楯の中央の突起のように、ダートムアの荒漠たる土地の中央にぽつんと存在する小さな市(まち)である。着いてみると、二人の紳士が停車場まで迎えに来ていた。一人は背の高い色の白い人で、獅子のような頭髪と顎髭とを持ち、明るい青色の眼には妙に射るような光があった。もう一人は小柄できびきびした人で、フロックにゲートルというきちんとした身装(みなり)で、短く刈込んだ頬髯を持ち眼鏡をかけていた。前者は、近頃英国探偵界にメキメキ男をあげて来たグレゴリ警部、後者は運動家として有名なロス大佐である。
「ホームズさん、あなたの御出張を得ましたことは欣快の至りです」
大佐が挨拶をした。
「ここにおいでの警部殿も出来るだけの手をつくして下すっていますが、気の毒なストレーカの復讐のため、かつは馬を取戻すためには草の根を分け石を起し、あらゆることをやってみたいと思って、それであなたの御出張をお願いいたした次第です」
「その後何か新発見でもおありでしたか?」
ホームズが訊ねた。
「残念ながらほとんど進展してはいません」
警部が引取って答えた。
「出口に無蓋馬車の用意をして来ましたから、暗くならない中(うち)に、何より先きに現場をごらんになりたいでしょうから、委しいことは馬車の中で申し上げることにしましょう」
一分間の後、私たちは乗心地のよい回転馬車(ランドウ)に座を占めて、見馴れぬ古風なデヴォンシャの市を駆(かけ)らせていた。グレゴリ警部は今度の事件で胸一杯だったと見え、話は後から後へと迸り出た。それに対してホームズは時々質問や間投詞を挟んだ。ロス大佐は腕を拱(こまね)いて反身(そりみ)に座席に身をもたせて、帽子を眼のあたりまですべらせ黙々として耳を傾けていた。私は二人の探偵の対話をいと興味深く聴いていた。グレゴリは自分の意見をも述べていたが、それは来がけの汽車の中でいったホームズの言葉とほとんど変らなかった。
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