双语阅读:《福尔摩斯之银色马》第10回
「これまでは馬だけだったのに!」
私は思わずに走った。
「その通りさ。今までは馬だけだったんだ。や、や、これはどうだ!」
人と馬との足跡はそこで急に方向を転じて、キングス·パイランドの方へ向っていたのである。ホームズは呻吟したが、そのままその足跡を追って新らしい方向へ歩き出した。そして、彼はじっと足跡ばかり見て歩いたが、私はふと横の方に眼をやってみると、驚いたことには、少し離れたところに同じ足跡が、再びケープルトンの方へ向っているのを発見した。私がそれを注意すると、ホームズは、
「ワトソン君、お手柄だ! おかげでうんと無駄足をふまされるのが助かった。さ、あの足跡を辿って進もう」
そこから先きはあまり歩かなくともよかった。足跡はケープルトン調馬場の厩舎の入口に通ずるアスファルト舗装の道路の前でつきていたのである。そこまで歩いて行くと、厩舎から一人の馬丁が飛び出して来た。
「ここは用のない者の来るところじゃねえだよ」
「いや、ちょっとものを伺いたいのだがね」
ホームズは二本の指をチョッキのポケットへ入れていった。
「明日の朝五時に来たいと思うんだけれど、サイラス·ブラウンさんに会うにはちと早すぎるかね?」
「ようがしょうとも。来さえすれば会えますだ。旦那はいつでも朝は一番に起きるだから。だが、そういえば旦那が出て来ましたぜ。お前さまじかにきいてみなさるがいいだ。はあれ、とんでもねえ、お前さまからお金貰ったことが分れば、たちまちお払い箱だあ。後で――なんなら後でね」
シャーロック·ホームズがいったん出した半クラウン銀貨をポケットへ納めると、そこへ怖い顔をした年輩の男が、猟用の鞭を振り振り大跨(おおまた)に門から出て来た。
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