双语阅读:《福尔摩斯之证券经纪人的书记员》第3回
「今度のことで一番に悪かったことは、私が私自身を、すっかり狼狽しちまって、まるで馬鹿のように振舞ったと云う所にあるんです。――無論、それでも私は全力をつくしてやったんです。私にはそれより外に出来ることがあるとは思えなかったんです。けれども、もし私が切札をなくしてその代りに何もとらなかったら、私は自分を、何と云う馬鹿な英国人だろうと感じたでしょう。――ワトソンさん、私はお話するのが、余り上手ではありません。――けれどありのままを申上げましょう。
私は呉服屋街のコクソンの店に務めていたんですが、この春大きな損をしまして、たぶん御存じかと思いますが、店がいけなくなっちまったんです。私はそこに五年おりました。だものですから、いよいよ店が破産する時に、私には実に立派な証明書をくれました。――無論、我々事務員は、みんなで二十七人もいたんですが、店が潰れると同時に、みんな散り散りばらばらになってしまいました。――私はあっちへもこっちへも口を頼んでみたんですが、しかしそこにいる連中の運命もまた、私の経験した運命と同じような位置におかれている奴ばかりなんです。そんなわけで、私は長い間、全く失業状態におちてしまいました。私はコクソンの店にいる時は、一週に三ポンドもらっていましたので、それを貯金して七十磅(ポンド)持っていました。私はそのお金のあるうちに、何か仕事をさがし出さなくてはならないのです。けれどほどなくそのお金もなくなってしまいました。そして求人広告に応募して手紙を出したくてもその切手もまた切手を貼る封筒もなくなってしまったんです。私は歩き廻りました。靴の底がすり切れるまでほうぼうの事務所の階段を上ったり下ったりしました。私はもう前のような職にありつくことは出来ないかと思いました。
ところがとうとう見つけたんです。ロンバルト街の大きな株式仲買店で、モーソン·ウィリアム商会と云う所に欠員を。そりア、そんなロンドンの中央東部郵便区なんて云う場所は、あなたの趣味には合わないでしょうけれど、しかしその商会はロンドンでも最も金持ちのほうなんです。――それは前に、広告を見て手紙を出しといたんですけど、たったそこ一軒だけから返事が来たんです。そこで私は証明書と願書とを送りました。でもその職業に有りつけようなどとは考えてもいなかったんです。――ところが返事が来て、次の月曜日に間違いなく時間までに来てくれれば、その日からすぐに私に仕事につかしてくれると云って来ました。――どうしてそんな風にして、思いがけなく仕事にありつけたものか、誰にも分かりません。ある人は、たぶんそこの支配人が、山と積まれている願書の中へ手を突っ込んで、最初に手に触れたものを引っ張り出したんだろうと申しています。が、とにかく私の所へ順番があたったんです。私はこんなに嬉しかったことはありません。――給料も一週に一磅(ポンド)のぼりましたし、それでいて仕事はコクソンの店とちょうど同じようなことなんです。」
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