双语阅读:《福尔摩斯之住院的病人》第12回
「ねえどうでしょう」
ホームズはやがて云った。
「僕も二階へいって、事件を調べてみたいんですがね」
そこで私たちは医者につれられて二階に上って行った。
そうして私たちがその寝室に這入って見た光景は、実に恐ろしい眺めだった。私は、これがブレシントンかと思われるように、グニャリとしてたれさがっていたその様子を、どうしてもここに書き現すことは出来ない。その鈞(はり)からぶらさがっている様子は、どうしても人間だとは思われなかったと云っても、少しも誇張ではないのである。その首は、ひねられた鶏の首のように伸びて、余計にからだ全体を太っているように見せ、その対象の奇妙さと云ったらなかった。それはブレシントンの長い寝巻きをまとった粘土細工で、その下からふくれ上った踵と不恰好な足とがニョキッとまる出しになっているのにすぎないのであった。――そしてその側にはすばしっこそうな警察の探偵が立って、しきりに懐中手帳に何か書きとめていた。
「ああホームズさん」
ホームズが這入って行くと彼は云った。
「あなたがいらしって下すったのは、大変有難いです」
「お早う、レーナー君」
ホームズは答えた。
「余計な奴が闖入して来たと思わないでくれたまえよ。――君はこの事件を引き起こした原因になるべきいろいろな出来事について、きいたかね?」
「ええ、大体はききました」
「で、君の意見はどうかね?」
「私の見ました限りでは、この男は何かの恐怖のために精神に異常を来たしたものじゃないかと思うんです。――ごらんのようにベットには寝ていたらしい形跡があり、しかも彼のからだの形がそのまま深く残っています。――普通、自殺と云うものは、朝の五時頃に行われるのが一番多いと云うことはあなたも御存じの通りですが、彼の自殺もやはりその頃に行われたのじゃないかと思うんです。――しかしいずれにしてもこれは、慎重に考うべき事件らしいような気がします」
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