双语阅读:《福尔摩斯之住院的病人》第8回
「私はまた……」と、彼の息子は話をつぐのでした。
「見ていると親じが待合室の入口からフラフラと這入って来るんでしょう。ですから、これはてっきりもう診察が終っちまったことだろうと思いましてね、――家へ帰って親じから事情をいろいろきいてみるまで、ちっとも気がつかずにいたんです」
「そうでしたか、そりゃどうも……」
私は笑いながら答えました。
「いや、かまいませんよ、私のほうはちっとも迷惑しなかったんですから。――ただ、どうしたんだろうと思って、ひどくまごつきはしましたがね。――では、待合室でお持ち下さい。昨日の、診察のつづきをやってしまいましょう。もうじき、終りそうな所までいっていたんですから……」
それから三十分ばかりの間、私はその老紳士と、彼の病気の徴候について話し合ったり、診察したりして、すっかり記録をとってから、やがて彼はその息子に手をとられながら帰って行きました。
そこで私は、ちょうどその日もほどなく散歩から帰って来たブレシントン氏に、この患者の話をしてきかせました。するとその話をきき終るか終らないかの時でした。ブレシントン氏はあわただしく二階にかけ上って行きましたが、やがてすぐとんで降りて来ると、いきなり私の診察室にとび込んで来たのです。その恰好は発作に襲われた狂人さながらなのでした。
「僕の部屋に這入った奴はどいつだ?」
彼は呶鳴りました。
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