双语阅读:《福尔摩斯之红发会》第5回
「その事務所は二脚の木の椅子と松材の机の他には何もなく、その後ろにわしよりも赤い髪の小男が腰を下ろしていました。そいつは人が入ってくると、志願者それぞれに二言、三言かつぶやいて、何とか粗を見つけては、不適の烙印(らくいん)を押しつけとるのです。これでは資格を得るのはやはり、簡単とは言えそうにありませんでした。ところが、わしらの番が回ってきたとき、小男は他のやつよりひどく好意的な目をわしに向けたんですわ。わしらが入ると、秘密の話をしようと扉を閉めたのです。
『ジェイベス·ウィルソンと申されます。』と、まごついていたわしを、スポールディングは横から口添えをしてくれました。『連盟の欠員を補いたいと希望されています。』
相手はあれの言葉を聞くと、こう答えたんです。『まさに適任だ。この方なら全ての条件を満たしている。こんなにも燃えさかるような赤は……見たことがない。』って、それから、その男は一歩後ずさり、首を傾げて、こっちが恥ずかしくなるほど髪をじっくり見るのです。すると突然、つかつかと歩いてきて、両手を硬く握りしめてですね、合格おめでとうと熱烈に言うんですよ。
それからその相手はですね、『ここで躊躇しては、申し訳が立ちません。』と何やら言い出しましてね、『見え透いたことでも、確かめるまで念には念を入れて……失礼します。』と……! 男はわしの髪を両手でつかんで、ぎゅう、と引っ張りおったんですわ。わしは思わず、あっ、と叫んでしまいましたよ。すると男はですね、『ん、涙が出ましたね。』とか言って手を離したんですよ。『これで問題ないわけですな。だが、我々は気を付けなければならんのです。今まで、かつらで二度、染色で一度騙されたことがあるんです。靴の縫糸用のロウ、そういったものを使った話もあるくらいで、人間の浅ましさにはあきれるばかりです。』と弁解めいた言葉を言いながら男は窓の所へてくてくと行って、大きな声で、合格者は決まったぞ、のようなことを怒鳴ったんですわ。そうしたら、がっかりした人たちのため息とかざわめきとかが下から聞こえてきて、人並みはぞろぞろっと散らばっていってですね、赤毛の人間といやぁ、わしとその審査員みたいなやつだけになっちまったんですよ。
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