双语阅读:《福尔摩斯之红发会》第10回
「では何のために。」
「ズボンの膝だ。」
「で、どうだった。」
「予想通り。」
「歩道を叩いた理由は?」
「いいかい、博士。今は話す時間ではなく、観察の時間だ。僕たちは敵地に乗り込んだ密偵(スパイ)。サックス·コバーグ広場のことはあらかたわかった。さて、この裏側の街を探索しよう。」
サックス·コバーグ広場を離れ、角を曲がるとすぐその通りはあった。コバーグ広場と比べると、画の表裏ほどの差だった。そこは、中心区の交通を北と西へ導く大動脈の一つである。車道には、行きと帰りの馬車が長い車の流れを作っていた。歩道では、急ぐ歩行者の群が多く、真っ黒になっている。信じがたいことだった。美しい店々や荘厳な事務所が一列に並んでいる。これが先ほどまでいた広場の背中合わせになっている。すたれ活気のなかった広場と裏通りなのだ。
「さてと。」ホームズは街角に立ち、通りをざっと見渡してみた。「ここの家々の配置を覚えておきたい。趣味で、ロンドンの正確な知識を頭に入れておきたい。ここはモーティマー商店、煙草屋、新聞の小売店、シティ&サバーバン銀行コバーグ支店、菜食料理店にマクファーレン馬車製作会社の倉庫。で、ここから別の区画か。さて、博士。僕たちの仕事は終わった。今度は気晴らしの時間だ。サンドウィッチとコーヒー一杯で一息つこう。それからヴァイオリンの国へ行くのだ。そこは甘美と絶妙と調和のみがあふれている。そこへ行けば、赤毛の依頼者に難題をふっかけられて煩うこともなかろう。」
我が友人は熱心な音楽愛好家だった。また自身も有能な演奏家であり、類い希な作曲家でもあった。午後はずっと劇場の一階特等席に座っていた。大きな幸せに浸り、音楽に合わせ、その長く細い指を静かに揺り動かしていた。このときの静かな微笑やまどろんだまなざしは、獲物を追うときのホームズや、怜悧で容赦なく犯人を追いつめる探偵としてのホームズとは、似つかぬものに思われた。時に私は考える。彼という特異な人間のうちには、この二種の気質が交互に現れるのではないか。百発百中の推理というのは、時折ホームズの心を支配する詩的で瞑想的な気分に対する反動ではなかろうか。この気持ちの切り替わりが、ホームズをけだるさの極地から飽くなき活力へと導くのだ。そして、私がよく知るように、幾日も立て続けで肘掛椅子にゆったりもたれかかりながら、即興曲を作ったり古版本を読んだりしているときほど、ホームズが真に恐るべきときはない。そして突然、追求欲が湧き起こって、あの見事な推理力が直感の高みまで昇りつめ、ついにホームズのやり方に疎(うと)い者でも、まるで仙人か何かのような知識を持っているのではないか、と不審の目で見るのである。この日の午後も聖ジェイムズ·ホールで私は音楽に心酔しているホームズを見て、冒険の果てに捕らえられるべき犯人達にはやがて、凶事が舞い込むであろうと感じた。
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