双语阅读:《福尔摩斯之红发会》第14回
初めは、敷石の上で黄色い光が弾けただけだった。だが光は次第にのび、黄色い光芒となった。何の前触れもなく床に亀裂が走った。そこから手が現れた。女のように白い手であった。手は光の届く狭い範囲をまさぐった。一分、あるいはもっと経っただろうか。指をもぞもぞさせていると思えば、手がにゅっと出てきた。だがすぐに引っ込んだ。残っているのは敷石の亀裂から漏れ出る、黄色い光のみ。辺りは元のように闇である。
静寂はつかの間のものだった。物が張り裂かれる激しい音。白く、大きな敷石がひっくり返されたのだ。ぽっかりと四角い穴があいている。ランタンの光芒が漏れ出てくる。穴の縁から、じわじわと顔が浮かび上がってくるのだ。鼻筋が通っていて、若々しいことが次第にわかってくる。顔は辺りを鋭く見、穴の両端に手を掛けた。肩、腰までも姿を現す。片ひざを縁によりかけて、軽々と穴の上に上がった。続いて、男は後に続く仲間を引き上げた。男と同じく華奢で顔は青白い、乱れた炎の赤毛を持つ男だった。
「……誰もいない。」先に上がった男がささやく。「たがね、袋も持ってきただろうな。……ん、何ィ! 飛び込め、アーチィ、飛び込むんだ、絞(しば)り首だ!」
シャーロック·ホームズが飛び出した。侵入者の襟首をすばやくつかむ。もう一人は穴の中へ飛び込んだが、服の引き裂かれる音がした。ジョーンズが服の裾をつかんだようだ。リヴォルヴァの銃身がきらめいた。ホームズの狩猟鞭が男の手首に振り下ろされた。拳銃が床の敷石に落ちた。がちゃりと音がする。
「無駄だ、ジョン·クレイ。」ホームズの穏やかな声。「君に反撃の余地はない。」
「どうやらそうらしい。」相手は極めて冷静に答えた。「だが、俺の仲間はうまく逃げおおせたようだ。服の端だけを貴様の手みやげにしてな。」
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