「～てみる」の意味とそれの実現する条件

时间:2008-03-31 22:58:08 来源:本站原创作者:echo

1・4　単純動作をあらわす動詞

次の例では動詞自身は，あることを知るための活動の意味はないが，「てみる」の形で使うと，あることを知るための活動を意味することになる。

この場合，「てみる」の働きは，1．1～1．3 の場合の「てみる」の働きより大きいと言わねばならない。

振る――	ヤカンを振ってみる。砂の女　35
掻きまわす―	砂の中を手をつっこんで，掻きまわしてみる。砂の女 22
突く――	捕虫網の柄で草の根もとを突いてみる。砂の女 8
つける――	水の中に，指をつけてみる。砂の女 75
行く――	穴のふちをまわって，海の見える所まで行ってみる。砂の女 85
――	人々は，さそい合わせて，湖の向こうの森へも行ってみました。五下 12
廻る――	秋彦「いまはあまり行きませんが，以前には関東地方のクラブはたいてい廻ってみました。」傷 128
――	家のまわりを，二，三度まわってみる。砂の女 22

2．ある動作をした結果の状態を知るためにする動作をあらわす「～てみる」

この意味を実現する条件として，語いの面，形態の面，構文の面，文脈の面と分けて考えてみよう。

2.1 語いのレベルでの考察

語いの面では，コミュニケーション活動をあらわす動詞が「～てみる」の形になってよく使われる。

例
話をする―	川島「早速話をしてみるが，それにしても五隻は無理だ。」キスカ 35
――	竹雄「ただ，ぼくたちの共通の立場というか，境遇というか，いろいろ話をしてみたいと思ったんだ」傷 81
――	池内「あなたが土地を売りたいというなら，香月さんに話をしてみましょう。」傷 105
話す――	勝平「あの人は，ええと，福村君でしたな，先日いろいろと話してみた訳だが，あんまり賛成してくれなかったようだったな」傷 63
会う――	勝平「池内という男に俺が会ってみよう」傷 45
たのむ――	女「つぎの配給のときに，カミソリたのんでみましょうか」砂の女 48

(電話を)かける―	綾子「ええ，出先をきいてね，そちらへかけてみてもらうのよ。」傷 181
(電報を)打つ――	秋谷「無電を打つだけ打ってみよう。」キスカ 14

次の例では，あることを知るためにする活動をあらわす動詞が，ここの意味で用いられている。

相談する―	勝平「酒井君にも相談してみたらどうかね」傷 59
――	藤子「お父さんに相談してみましょう」傷 156
連絡する―	大沢「大学時代の友人で，一，二，彼と親しいのがおりますから，連絡してみても…」白と黒 125
呼ぶ――	綾子「小桃さんを呼んでみてくれない…」傷 181

何か悩みごとを解決するにはどうしたらよいか知ろうと思って「相談する」のであるが，同時に，その結果どういうことになるかということを知るためにも「相談する」のである。

次の例のように，結果の成就を問わない意味をあらわす動詞もある。

合わせる―	男，こわれた箱をひろって，合わせてみる。砂の女 73
はさめる―	イロリから木版をひろい，ひらいた間に，はさめてみたりする。砂の女 48

「合わせてみたがうまくいかなかった。」「合わせてみたがうまく合わさらなかった。」のように実際には合わさらなくても「合わせてみた」と言えるのである。この場合の「～てみる」は「～ように努力する」という意味である。

次に，その他の動詞の例と，それぞれの解釈をあげておく。

近づく――

やり方を変えて，口笛をふき，手を差しのべながら，近づいてみる。砂の女 58

「近づく」という動詞は，1.にもでてきたが，この例の文脈では，「犬をだまらせるために，いろいろなやり方をしてみた，その一つとして手を差しのべながら，近づいてみた」という意味である。

立候補する―

岩田「どうだね，来年あたり，浪速大学の学長に立候補してみては」白い巨塔 59

この例では，立候補すれば，当選か，落選の結果がまっているわけであるが，その当選か，落選かの結果を知るために立候補する，という意味であろうか。

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