双语阅读:《福尔摩斯之证券经纪人的书记员》第8回
「それから明日の夕方七時にいらしって下さい。そしてどのくらい仕事をなすったか私に見せていただきとうございます。――労働過度にならないように。夕方二時間ばかりミュジック·ホールへいらっしゃるのは、一日働いたあとに害にはなりませんよ」
彼はそう云って笑いました。その時私は、彼の左側のほうの、金で不体裁に詰めてある二番目の歯を見てギクッとしました」
シャーロック·ホームズは喜んで彼の手をこすった。私は喫驚(びっくり)して私達のお客を見詰めた。
「ワトソンさん、あなたは大変お驚きになったようですが、それはこう云うわけなんです」
私たちのお客は話し続けた。
「今、ロンドンで会ったもう一人の男のことを申上げましたが、その時、私がモウソンの店へ行くことはやめようと云いますと、その男は喜んで笑ったのですが、その笑った時に私はこれとそっくりのやり方で詰められている彼の歯を見たんです。あなたもお分かりになるように、その時も今度の時も、金の光りが私の眼を捕えたのです。――そこで私は以上のことの上に、声と様子とが同じであると云うことと、そして剃刀(かみそり)と仮髪(かつら)とさえあれば人間の顔貌(がんぼう)は変えられると云うことを考え合せると、私はその二人が同じ人間であると疑わざるを得なかったのです。無論あなたは兄弟は似ているとおっしゃるでしょう。しかし同じ歯を同じようなやり方でうめるわけがないではありませんか。――彼は私を送り出しました。そして私は通りへ出ましたが、無我夢中で、足で歩いてるのか頭で歩いてるのか分かりませんでした。私はホテルへ帰りつくと、冷たい水で頭をひやして、そのことを考えてみました。――なぜ彼はロンドンからバーミングハムへ私を寄越したんだろう……またなぜ彼は私に近寄って来たのだろう。そして何の必要があって彼は、自分自身から自分自身へあてた手紙などを私に持たせてよこしたのだろう? ――これらのことは私にはあまりに問題が多すぎて、判断が出来ないのです。その時ふと私は、私には何が何だか分からないことも、シャーロック·ホームズさんには分かるだろうと云う事に考えついたんです。で、私はすぐさま夜中(やちゅう)に乗り込んで、今朝お目にかかって、そのままバーミングハムへ私と一しょに来ていただこうと思ってやって来たわけなのでございます」
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