双语阅读:《福尔摩斯之三桅帆船》第3回
「あなたは鉱山で採鉱をかなりなすった。その手のタコで分かります」
「私は私の財産は金鉱でつくったのです」
「ニュウジーランドにいらしったことがおありでしょう」
「それもその通りじゃ」
「日本へいらしったでしょう」
「行きました」
「それからあなたは、頭文字がJ·Aと云う方と、非常に近しくなすっていらっしゃったでしょう。そうしてその後あなたは、その方のことはほとんどお忘れになっていらしった」
トレヴォ氏は静かに立ち上って彼の大きな碧い両眼を、不思議そうに僕の上に注いだ。そしてじっと僕を見詰めていた。が、やがて、彼は気が遠くなったもののように、バタと前へのめって、そこに出してあった胡桃(くるみ)の中に顔を突っ込んだ。
その時、彼の息子と僕とは、どんなにびっくりしたか分かるだろう。ワトソン。――けれどこの激動はまもなくなおった。僕たちが彼のカラーをはずしてコップから水を彼の顔の上にふきかけてやると、一二度呼吸をひいていたが、やがて起き上った。
「ああ、お前たち!」
彼は無理に笑いながら云った。
「もう大丈夫だから安心して下さい。――私は強そうに見えて、心に弱い所があるのですな。でも、私の命をとるほどではないのです。――ホームズ君、私は君がどうしてこれを推論されたのか知らんのじゃが、しかし君にはこんな事の探偵は、なんでもないことのように私には見えるのう。――あなたはその方面をおやりなさるがよい。そうすればきっとあなたは何かを発見なすって、世界的な人物になれますぞ――」
そうして実に、ワトソン、この時彼に無暗(むやみ)に私の才能をほめ上げられたことが、それまでは道楽にやっていた仕事を、これは商売になるかなと思わせられるようになった、そもそも最初の原因だったのさ。けれど無論その時は、私はその家の主人の急病で夢中だったから、そんな他のことなどは考える所じゃなかったのだ。
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