双语阅读:《福尔摩斯之三桅帆船》第7回
親じは僕のほうを向いて云った。
「それどころか、僕たちは、こいつに出来るだけの辛抱をして来たと思っていますよ」
僕は答えたんだ。すると、
「おう、うぬぬかしやがったな」と彼は唸るように云った。
「野郎、よくもぬかしやがったな。覚えていろ!」
彼は足を引きずりながら部屋から出ていった。そしてそれから三十分の後、僕たちの家から出ていってしまった。気の毒なほど神経を病んでいる親じを後に残したまま。――それから毎晩毎晩、親じは自分の部屋の中を歩き廻っている足音を僕は耳にした。それはいよいよ打撃がやって来ると云うことを自覚したかのようだった」
「それからどうしたね?」
僕は熱心さを加えてきいた。
「全く思いもかけなかったようなことが起きて来たんだ。きのうの夕方だった、フォーディングブリッジの消印のある手紙が父親の所へとどいたんだが、それを読むと父親は、まるで気が違った人間のように、頭を両手で押えたまま、部屋の中をグルグルグルグル輪を書いて廻り初めたんだ。そうして僕が捕えてやっとソファの上へ腰かけさせた時には、親じの口も目も片一方引き吊って、まるですっかり気が顛倒(てんとう)していることが分かった。ですぐフォードハム博士に来てもらって、寝床の中へ運びこんだわけだ。けれど痲痺はいよいよひろがる一方で、意識を取り返えしそうもないのだ。僕は、もう到底だめだろうと思ってるんだよ」
「おそろしい話じゃないか、トレヴォ」僕は叫んだ。
「その手紙に、何かそんな怖ろしいことを引きおこすようなことでも書いてあったのかしら?」
「なんにもないんだ。その中にはわけの分からないことが書いてあるんだ。文句は下らない、つまらないことなんだ。――僕はこんなことになりはしないかと、ひそかに恐れていたんだよ」
彼がこんな話をしているうちに、僕たちの馬車は並木道のカーブを曲っていた。そして夕暗(ゆうやみ)の中に、家の鎧戸がすっかりおろされているのを見た。僕たちは玄関にとびついた。友達の顔は心配で緊張していた。と、その時、玄関の中から、黒い服を着た紳士が出て来た。
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