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動詞の自他について

时间:2008-03-27 00:25:22  来源:本站原创  作者:echo
 
動詞の自他について
吉川 武時
自他の対応は、原則として格助詞「」の対応をするが、本稿では「が-を」以外の対応をするものについても述べる。また、フォーク型対応と言って、1つの自動詞に2つ(以上)の他動詞が対応するもの、この逆のものなどについても述べる。
自動詞・他動詞の対応、いわゆる自他の対応とは「開く akU:開ける akERU」のように、語根(ak-)を共通にし、接尾辞(-U、-ERU)によって自動詞・他動詞となる1組の動詞のことである。この接尾辞「-U、-ERU」は、自他の対応のパターンの1つである。こうした対応のタパーンは、以下に挙げるように 11 (その他を入れると 12)ある。対応する自動詞と他動詞は、一般に「戸開く:戸開ける」のように、「ガ格名詞+自動詞」「ヲ格名詞+他動詞」として用いられる。格助詞だけを示せば「」であるので、自他の対応とは「」の対応と言うことができる。しかし、数ある動詞の中には“自他の対応”と言っても、「が-を」以外の対応をするものがある。そこで、各対応のパターンについて、これらを調べてみる。
自動詞と他動詞の形の上の対応のルール
(1)ふさがる ふさぐ  husag-ARU  husag-U
(2)あがる   あげる      ag-ARU     ag-ERU
(3)あく     あける      ak-U       ak-ERU
(4)とれる   とる       tor-ERU    tor-U
(5)ぬれる   ぬらす     nur-ERU    nur-ASU
(6)たおれる たおす     tao-RERU   tao-SU
(7)かわく   かわかす kawak-U    kawak-ASU
(8)のびる   のばす     nob-IRU    nob-ASU
(9)おちる   おとす      ot-IRU     ot-OSU
(10)のこる   のこす    noko-RU    noko-SU
(11)のる     のせる      no-RU      no-SERU
(12)きえる   けす        k-IERU     k-ESU
            『日本語文法入門』(アルク)(p.72~74)。
この中で一番数が多いのは(2)、次いで(3)である。これをじっとながめていると、いろいろなことが見えてくるだろう。
  • (3)と(4)とでは自動詞と他動詞が逆になっている。
  • (5)以下は自動詞側(左)に -RU があり((7)を除く)、他動詞側(右)に -SU がある。
  • (5)(7)(8)では他動詞側が -ASU となっている。
  • (4)(5)の自動詞側の -ERU と(2)(3)の他動詞側の -ERU は歴史的に異なる音韻だったと予想される。同じ語形が一方は自動詞化、一方は他動詞化というのは考えにくい。 ※小生はこの方面に詳しくないので、これ以上のことは言えない。
(1)ARU-U husagARU-husagU
次の例は、一般的な「」の対応をする。
自動詞
他動詞
ふさがる
泥で穴がふさがる
ふさぐ
栓で穴をふさぐ
つながる
電極がつながる
つなぐ
電極をつなぐ
ささる
指にとげがささる
さす
腕に針をさす
「くるまる:くるむ」
 
「くるまる:くるむ」も「が-を」の対応をするが、用法に差がある。
自動詞
他動詞
くるまる
? 野菜が紙にくるまる
赤ちゃんがふとんにくるまる
くるむ
野菜を紙にくるむ
? 赤ちゃんをふとんにくるむ
「またがる:またぐ」
「またがる:またぐ」は次のようになる。
自動詞
他動詞
またがる
どぶまたがる
この問題は両方にまたがる
またぐ
どぶまたぐ
* この問題は両方をまたぐ
上の例では「」の対応をしているが、下の例のように「またぐ」が使えない場合もある。
「フォーク型対応」について
--「つながる:つなげる、つなぐ」を例に--
ある1つの自動詞(あるいは他動詞)に対して2つ(以上)の他動詞(あるいは自動詞)が対応している場合がある。これをフォーク型対応と言う。自動詞を左側に、他動詞を右側に置いたとき、右に開くようなフォーク型対応を右フォーク型と言うことにしよう。(あとで述べるが、左フォーク型もある。)
つながる
つなぐ
 tunagARU
tunagU
(1)
つなげる
tunagERU
(2)
この例では「つながる」という自動詞に「つなぐ、つなげる」という2つの他動詞が対応している。「つながる:つなぐ」の対応は(1)のパターンであり、「つながる:つなげる」の対応は(2)のパターンである。
フォーク型対応の場合の助詞の対応
--「つかまる:つまむ、つかまえる」を例に--
次の例「つかまる:つかむ、つかまえる」もフォーク型対応である。
つかまる
つかむ
 tukamARU
tukamU
(1)
つかまえる
tukamAERU
(その他)
この例では、他動詞「つかむ」と「つかまえる」は使い分けられている。このような場合、自他の対応が二組考えられる。「つかまる:つまむ」と「つかまる:つかまえる」である。また漢字で書くときは、異なる文字を使う。
「つかまる:つまむ」は「」の対応をする。漢字は「掴」を書く。
自動詞
他動詞
つかまる
吊り革つかまる
つかむ
吊り革つかむ
「つかまる:つかまえる」の対応はどうなっているか、次に調べてみよう。なお、この場合、漢字は「捕」を書く。
自動詞
他動詞
つかまる
泥棒巡査つかまる
つかまえる
巡査泥棒つかまえる
助詞の対応を調べるには、同じ名詞に付く格助詞を比較する。分かりやすくするために補語を1つずつにすると、次のようになる。
つかまる
泥棒   つかまる
つかまえる
   泥棒つかまえる
   巡査つかまる
巡査   つかまえる
「泥棒」が「泥棒」となっている。つまり、「」の対応である。また、「巡査」が「巡査」となっている。つまり、「」の対応である。つまり、「」の対応と「」の対応があるわけである。
「からまる:からむ」
「からまる:からむ」は、一見(1)のパターンの自他の対応と考えられる。しかし、用法をよく調べてみると、そうとは言えなくなってくる。
自動詞
他動詞
からまる
糸が棒にからまる
? 酔っぱらいが市民にからまる
からむ
? 糸が棒にからむ
酔っぱらいが市民にからむ
上の例に見るように、 「からむ」は「を」を取らない。 さらに、用法が相補的(互いに補い合う形)になっている。これは、よく似ているが別の意味の動詞(自動詞)と考えられる。そこで次のようになる。
自動詞
他動詞
からまる
糸が棒にからまる
? 酔っぱらいが市民にからまる
...
............
からむ
? 糸が棒にからむ
酔っぱらいが市民にからむ
...
............
これとは別に「からむ」を「に」を取る“他動詞”と考えることもできる。
さらに、あまり使われないが「からめる」という動詞(他動詞)もある。これらを考え合わせると、次のようなフォーク型対応をしていると考えられる。(「からむ」を一応他動詞側(右)に置く)
からまる
からめる
 karamARU
karamERU
(2)
からむ
karamU
(1)
 
そして次の3つの言い方ができる。
 からめる   他動詞        棒に糸をからめる
  からませる  「からむ」の使役形  棒に糸をからませる
  からまらせる 「からまる」の使役形 棒に糸をからまらせる

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