双语阅读:【日本经典小说连载】东京塔(7)
东京塔这部小说从“我”一点点长大,一直写到“我”目送着母亲因病去世,各种生活细节每每令人感同身受,因而赚取了读者大把的眼泪,也当之无愧地成了哭泣小说的首席代表。
Ⅰ(7)
運良くレーダーは腸を通過した。電気浣腸は腸の閉塞していた部分を開いて、僕は開腹手術を受けずに済んだ。オカンは泣いて歓び、オトンはガッツポーズをひとつ決めて、また、飲み屋へリターンして行ったらしい。
あの時、激痛にのちうち回った時に嗅いだ家の畳の匂い。壁の色。すぐにでも思い出せる。オカンの心配そうな顔。でも、オトンがそこにいた記憶はない。
そして、もうひとつ憶えているのは、絵を描いているオトンの後ろ姿だ。定規(じょうぎ)の溝にガラス棒をあてて、筆やカラス口で線を引いていた。何かのデザインをしていたのだろう。居間の壁にはオトンが昔描いた石仏の絵が何枚も飾ってあった。ボクが見ていると青い絵の具の入った白い陶磁器の皿と筆を渡して、チラシの裏側に何か描けと言った。ほぅ、とか、へぇ、とか言っていた気がする。絵を描いているとオトンが優しかったような気がしていた。
これがボクの憶えていることだ。
鮮やかに残っている三歳までのいくつかのこと。自分でもよく細さい部分まで忘れないものだなと思うが、これがボクとオカンとオトン、この三人が家族だった頃の記憶。
これが全部。これだけしかない。
ボクは福岡の小倉と言う街で生まれた。紫川の川沿いにある病院で生まれたそうだ。オカンはその川沿いを歩くたび、病院を指差して「あんたが生まれた所よ」と言った。
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