双语阅读:【日本经典小说连载】东京塔(79)
东京塔这部小说从“我”一点点长大,一直写到“我”目送着母亲因病去世,各种生活细节每每令人感同身受,因而赚取了读者大把的眼泪,也当之无愧地成了哭泣小说的首席代表。
Ⅲ(7)
「とにかく、もう行かんとたい。あんたはここの中学に行かなたい」
「いいや……」
「仕方なかろうも……」
なにが理由なのかわからない。オカンはそれ以上を言わなかった。離れて暮らす夫婦の間になにがあって、もう一度、一緒に住むことを考えたのか?そして、なぜ、それをやめたのか?
子供には子供の会社の付き合いがある。しかし、それも親に振り回されるしかない。
ぐるぐるぐるぐる回った。頭の中で、ぐるぐる回った。
"みんなになんて言おう……"
ぐるぐるぐるぐる、そればかりが気になった。オトンはなにやってるんだろう……。ぐるぐるぐるぐる。
途端に春の陽気は憂鬱な温度に変わった。
その話を聞いて二日も明けないうちに、前野君が家を訪ねてきた。前野君のお父さんからの餞別と自分が大切にしていたオモチャを持っていた。数日前に、前野君の家で送別会をやってもらったばかりなのに。
「これ、家の人が持って行って。それと、これ、オレからやけど、持って行って……」
半泣きの前野君の顔を見ると、なんとも言えない気分で言い出しづらかった。
「あの……、やっぱり小倉に行かんごとなったんよ……」
「え!?どういうこと!?」
「おんなじ中学に行く……」
「なんね、それ!?」
前野君は完全に拍子(ひょうし)抜けした様子で、言葉少なに、その餞別を持ったまま、家に帰った。
カッコ悪いことというか、申しわけないというか。今でも仕事でたまに相手に思わせぶった後の"あれ、ナシで……"ということはあるにせよ、この時ほど切ない状態は過去経験がない。
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