双语阅读:【日本经典小说连载】东京塔(82)
东京塔这部小说从“我”一点点长大,一直写到“我”目送着母亲因病去世,各种生活细节每每令人感同身受,因而赚取了读者大把的眼泪,也当之无愧地成了哭泣小说的首席代表。
Ⅲ(10)
トイレは小便器がふたつ、個室便所もふたつ、一列に並んでいて、どちらを使っても構わないのだが、言わずもがな、少しでも近い方の便器を使っていた。
なるべく手術室の方向を見ないように急いで用を足す。もちろん、そんな古い家は便所も汲み取り式、電球は裸電球、上も下も横も後ろも、どこも恐ろしくて見ることができず、とにかく、トイレに行くことが最後までストレスになった。
恐怖映画を観に行かなくなった。流行っていた横溝正史の本を読まなくなった。
一度、便所から自分の部屋へ戻ろうとした真夏の夜に、帰り道の引き戸が開かなくなったことがある。内側から鍵がかかっているようだった。手術室前の広い廊下から変な音が聞こえた気がした。
たまらず声をあげてオカンを呼んだ。引き戸をガンガン叩きながら、オカンを呼んだ。
「オカン!!オカン!!」
すると、オカンが笑いながら引き戸を開け、腹をかかえてボクを指差すのである。
「なんねアンタ。度胸がないねえ」
オカンが鍵を掛けてイタズラをしていたのだ。そういうことするなよ!!まったく!!頭に来て、物も言わずに部屋に戻った。誰が自分の家で肝だめしを楽しむというのだ。
学生食堂の中にある小部屋で生活したこともあるけど、ここは恥ずかしいだけじゃなく「怖い」という点がたまらなかった。
古病院の元病棟で、オカンとボクの新しい生活が始まった。ばあちゃんの家からなら歩いて通えた中学も、土壇場で引っ越したばかりに、自転車で四十分程度通学にかかることになった。
ボクは野球部に入部し、坊主頭になった。
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