双语阅读:《福尔摩斯之孤身骑车人》第13回
「いやホームズさん、今僕はそれを後悔しております。しかし私が彼の女を保護するために取った手段を考えた時に、――いえ私は実は、彼の女を愛していたのですが、ホームズさん実は私は恋と云うものを、この時こそ初めて知ったのでしたが、――私は彼の女が、あの南アフリカ第一の残忍な悪漢で、キムバーレーから、ヨハネスブルグまでの間で、人々から震怖(しんぷ)されているウードレーの手中にあるのかと考えた時は、私は全く前後不覚に逆上してしまったのでした。いえホームズさん、御信用下さらないかもしれませんが、私はこの娘さんを雇入れてからは、私はこの家には悪漢共の住んでいるのは知っていますから、いつも自転車で彼の女の後に遠くついて、彼の女の無事なのを見届けるようにしたほどでした。私は彼の女からは、相当の距離をとり、また髭もつけていたので、彼の女には私がわからなかったのですが、強いてこんなことをさしたのも、あの善良で潔白な彼の女が、もし私が田舎道で彼の女をつけるなどと云うことがわかったら、もう私のところには居なくなるだろうと思ってのことでした。」
「じゃどうして君は、彼の女にその危険を教えてくれなかったのだね?」
「つまりそれも、やはり彼の女に、私のところを去られてしまうと思ったからです。このことだけは私は、とても堪え切れませんでした。例えば彼の女は、私を愛してはくれなくっても、せめて彼の女の美しい姿を、私の家のあたりに見、彼の女の声をきくことが、私にとっては、絶大のことでした。」
「なるほど」
私は云った。
「君はそれを愛と呼んでいるが、しかしカラザース君、それは利己主義と云うものだよ」
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