《伯爵与妖精》卷二第二章魔兽的妖精之卵2.3
カールトンは立ち上がり、キャビネットから持ち出したそれをテーブルに置いた。
原石の外側は、黒っぽいざらざらとした石にすぎない。その内側に、色鮮やかな縞模様(しまもよう)を持つ宝石が隠れているとは思えないほどだ。
「こうしてみると瑪瑙そのものが、石の卵に閉じこめられているかのようですね。殻(から)を割ってはじめて、中身が見える」
エドガーが興味深げに眺めるテーブルの上の瑪瑙は、すでにふたつに割れていて、断面のきらきらした瑪瑙の層をあらわにしていた。
「でも、妖精の卵って呼ばれる瑪瑙は、こういうものではないんでしょう?」
「その呼び名は、ある瑪瑙につけられた固有名詞だからね。種類のことではないんだ。文献によると、乳白色にグリーンの模様が入った美しい石だそうだ。ペパーミントリーフというこの種の色合い自体がめずらしいが、妖精の卵は加えて水入り瑪瑙だという」
「水入り瑪瑙って?」
話を振ったのはエドガーなのに、リディアが質問する形になっているのは、たぶんエドガーはすでに、「水入り瑪瑙」がどういうものかくらいは知っているのだろう。
「この瑪瑙の原石で見ても、石の中央に空洞(くうどう)があるのがわかるだろう? ここに、水が閉じこめられていることがあるんだ。ただしこのように割ってしまっては、水は確認できない。一瞬で蒸発(じょうはつ)してしまうからね」
「ではどうすれば、水があるとわかるんですか?」
「振ったときに中で水の音がします。そういう石を見つけたら、外側から少しずつ削っていくわけです。薄く薄く、中心に近づいていったときに、中身がかすかに透けて見えます。大地の奥で眠り続けていた、太古の水のゆらめきです」
想像して、リディアはため息をつく。薄いくもりガラスのようになった瑪瑙の色を透かし、その中心にはじめて届く陽(ひ)の光はどんなふうに見えるのだろうと。
「おそらく妖精の卵という呼び名のイメージは、ペパーミントの葉脈(ようみゃく)で包んだような色合いと、水を不思議な生き物に見立てたためではないでしょうか」
「でも父さま、そのめずらしい瑪瑙なら、本当に妖精が入り込んでしまうことがあるかもしれないわ」
リディアの突飛(とっぴ)な発言に、慣れていないラングレーだけがきょとんと顔をあげた。
「妖精は美しいものが好きだし、瑪瑙の中の水は天地創造の六日間に閉じこめられた神秘の水だってことでしょう? 妖精を引き寄せて、とりこにするにはじゅうぶんだわ。それに宝石は、光を取り込んで閉じ込める石よ。魔力も閉じこめる力があるもの。妖精も、入ってしまったら出られなくなるわね」
「たしかに、そのような使われ方をしたという記録はあるね。ほかの水入り瑪瑙は知らないが、妖精の卵に限って言えば、悪さをする悪魔を封じ込めたという逸話(いつわ)を持っているよ」
「ではその、妖精の卵と呼ばれる石は、今もどこかにあるんでしょうか?」
「あるのじゃないですかな。十六世紀初頭にはカンタベリーの修道院にあったようです。以降のことは記録がないのですけど」
そこまで聞いて、ふとリディアは疑問に思った。
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