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《伯爵与妖精》卷二第三章牛奶糖与橘子3.4

时间:2011-10-21 13:23:52  来源:可可日语  作者:ookami

「……なるほど、そうだった。忘れていた」
「それにそのような事柄は、私には判断がつきかねます」
 生きた武器のように扱われ、自分の感情や意志を、自分のもののように感じることのできなかったレイヴンだ。他人の気持ちはさらに理解しにくいようだった。
 一見|漆黒(しっこく)に見える彼の瞳は、光を透かすとかすかに緑がかっている。彼の故郷では、それは殺戮(さつりく)の精霊を宿しているしるしなのだという。
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 王に従い、戦うために生まれた精霊の子は、秀(ひい)でた戦闘能力を持っている。と同時に、人間的な感情が薄く、容赦(ようしゃ)もためらいも、理由さえ必要なく、命じられるままに人を殺す。
 戦争のための武器に、心など必要はないのだとしたら、このうえなく理想的な戦士かもしれない。
 精霊が本当にいるのかどうかエドガーにはわからないが、レイヴンはそういう少年だ。しかし、本当に心がない人間などいるはずがないのだ。
 武器として扱われればそうなるしかなくても、彼は感じることも考えることもできる。
『王』の代わりとなったエドガーに、ただ従うのではなく信頼関係を築きながら忠実に仕えようとつとめている。その気持ちが、少しずつ主人以外の人間にも向けられるようになればいいと思う。
 ホールの階段をあがり、自室のドアを開けながら、エドガーは、レイヴンに頼んでおいたもっと重要な事柄へと頭を切りかえた。
「ええと、ならおまえに頼んだことについて聞こう」
「リディアさんは無事自宅へ戻られました」
「不審(ふしん)な者は?」
「誰も現れませんでした」
 考えつつ、ソファに身を投げ出す。
「そう。僕がリディアを連れてクリモーンガーデンズに行くことは耳に入っていたはずだし、リディアがひとりで帰ることになったあの状況は、絶好のチャンスだと思ったのにね。ま、やつが直接手を下すわけはないけど、手下も用意していなかったってことなのかな」
「あの、エドガーさま、このままリディアさんをおとりにしてよろしいんですか?」
「おまえが不安を感じるなら考えるが?」
「いいえ、そうではありません」

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