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《伯爵与妖精》卷二第三章牛奶糖与橘子3.4

时间:2011-10-21 13:23:52  来源:可可日语  作者:ookami

 ウォルポール男爵家は、貴族としては新しい部類だが、資産家の家だ。当主は、まだ十六歳のドーリス嬢。彼女の両親は、十年前の船の事故で亡くなった。同じ船に、彼女の従姉(いとこ)であるロザリーの両親も乗っていた。
 同時に親を失ったふたりの少女は、それから一緒に暮らしている。
 彼女たちの後見人(こうけんにん)が、男爵家と血縁のあるグレアム?パーセル卿(きょう)だ。
 以来男爵家では、正統な跡継ぎであるドーリスをさしおいて、ロザリーとグレアムが好き勝手にしている様子がうかがえる。
 地味でおとなしい男爵令嬢と、派手で気の強いその従姉。自然に人目を引き輪の中心になるロザリーのそばにいて、ドーリスは付き人のように言いなりになっていた。
 けれども身分はドーリスが上。男爵家の当主なのだ。だからこそあの気位の高い少女は、ドーリスよりも目立ちたかった。
 人前でも、しばしばドーリスに意地悪な態度をとり、優越感(ゆうえつかん)にひたっていた。
 いなくなってせいせいしている、とふたりきりになってうちとけたロザリーは、はっきりとエドガーに言ったのだった。
 子供のころから、ひとりじゃ何もできない子だった。気が弱くて臆病(おくびょう)で、だから妖精卵(ようせいたまご)に誓った約束を破ったあの子に、霧男が罰を与えに来るって言ってやったら本気で怖がって、霧のロンドンから逃げ出し田舎(いなか)に引きこもった。そうも彼女は言った。
 いずれにしろ、何でもよくしゃべる女の子だ。
 エドガーは彼女とは、上流階級のちょっとした集まりで何度か会っているが、その都度貴重な情報源になってくれていた。
 それとなく訊(たず)ねれば、嬉々(きき)として答える。男爵家の内情を、何から何まで聞き出すのは、あっけないほど簡単だった。
 さて、次の手は。どの駒(こま)をどう動かすか。
 考えながらエドガーは、深く眉根(まゆね)を寄せる。
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 まるでゲームだ。自分がやろうとしていることは、勝利を収めたとしても何の価値もないことなのではないか。
 むりやり、そんな考えを頭から追い出す。ゲームでも、はじめた以上勝たねばならない。それだけだ。
 チェックメイトまであと何手だ?
「お帰りなさいませ、旦那(だんな)さま」
 出迎えた執事(しつじ)に、帽子とステッキと上着を押しつけるようにあずけると、エドガーはホールへ出てきたレイヴンに歩み寄った。
「レイヴン、リディアは? 妬(や)いてたか」
「妬いていたか……ですか?」
 予想外の質問に戸惑った様子で、レイヴンは首を傾げた。
「ほかの女の子と親しくする僕を見て、妬いてくれるなら脈があるかと思うだろう?」
「はあ、ですがエドガーさま、妬いているかどうかを確かめるようには言いつけられませんでした」
 きまじめに、彼はそう言う。

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