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《伯爵与妖精》卷二第四章高贵的恶魔4.5

时间:2011-10-28 13:30:59  来源:可可日语  作者:ookami

 伯爵(はくしゃく)邸へやって来たカールトンが、リディアが帰ってこないとエドガーに告げたとき、すでに彼はあちこち娘を捜し回った様子で、そのうえ乗り物を使うことを失念し、歩いてここまで来たらしかった。
 家政婦の話では、昼すぎに早退してきたというリディアは、カールトンの書斎(しょさい)にこもっていたが、夕方になってまた出かけたのだという。
 そのときリディアは、忘れ物を届けにいくと言って、外出というほどでもない軽装だったらしい。
「すみません、伯爵。もしかしたらまた用ができて、こちらにいるのではないかと思ったもので」
 玄関先でリディアがいないことを確認すると、カールトンはすぐまた出ていこうとした。
「カールトンさん、どうか気を落ち着けてください。これから僕も、心当たりを訪ねてみますから」
 引き止めながら、エドガーはそう言う。
 執事(しつじ)に外套(がいとう)と帽子を用意させ、レイヴンを呼ぶ。
 話を聞いたエドガーは、すぐさまロザリーのことを思い浮かべていた。
 演奏会のあと、伯爵邸へ戻ってきたところ、ロザリーが落とし物をしたと騒ぎ出した。レイヴンが、拾ったものをリディアに渡したと言ったとたん、血相を変えて飛び出していったからだ。
 彼女の落とし物について、レイヴンは、「イースターエッグのような石」だと言ったが、エドガーは〝妖精の卵(たまご)〟だと直感していた。
 それはかつて、彼が持っていたものだった。
 エドガーが育った家、広大なマナーハウスの一角にあった『|驚異の部屋(ワンダーチェンバー)』は、先祖代々の収集|癖(へき)によって、古今(ここん)東西の珍品であふれかえっていた。文字通り、訪れる人を驚かすための部屋。あやしいいわく付きのものも数知れず、正体不明のミイラや剥製(はくせい)の数々を愛(め)でる感覚は、悪趣味だが貴族の間ではめずらしいことではなかった。
〝妖精の卵〟は、そこに飾られていたもののひとつだ。
 薄い葉脈(ようみゃく)で包まれているかのようにも見える縞模様(しまもよう)、中に閉じこめられた水。石の中でその影が動くのが不思議で、子供心に惹(ひ)かれていた。
 それが瑪瑙(めのう)だということも、〝妖精の卵〟という異名(いみょう)を持っていることも、それにまつわるいわくも知らないまま、父のものである『驚異の部屋』から勝手に持ち出していた。いつでも、ポケットに入れていたのは覚えている。けれどいつなくしたのかは覚えていなかった。

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