双语阅读:【日本经典小说连载】东京塔(2)
东京塔这部小说从“我”一点点长大,一直写到“我”目送着母亲因病去世,各种生活细节每每令人感同身受,因而赚取了读者大把的眼泪,也当之无愧地成了哭泣小说的首席代表。
Ⅰ(2)
ボクはそれを聞いて、だからこそ憧れるのだと思った。このからっぽの都ですっくりと背を伸ばし、凛と輝き続ける佇まいに強さと美しさを感じるのだと思った。流れ、群れ、馴れ合い、裏きりながら騙しやり過ごしてゆくボクらは、その孤独である美しさに心惹かれるのだと思う。
淋しさに耐えられず、回され続けるボクらは、それに憧れるのだと。
そして、人々はその場所を目指した。生まれた場所に背を向けて、そうなれる何かを見つけるために東京へやって来る。
この話は、かつて、それを目指すために上京し、弾き飛ばされ故郷に戻って行ったボクの父親と同じようにやって来て、帰る場所を失してしまったボクと、そして、一度もそんな幻想を抱いたこともなかったのに東京に連れて来られて、戻ることも、帰ることもできず、東京タワーの麓で眠りについた、ボクの母親のちいさな話です。
ある日、ボクたちは、その東京タワーの見える小さな部屋で、三人揃って、ぐっすりと眠った。
幼児の頃の記憶。多くの人はその頃のことを、ほとんど思えていないという。しかし、ボクにはいくつかのことがずっと残っている。それが、あやふやでもなく、おぼろげでもない。はっきりとそのときの空気の匂い、思っていたこと、小さな風景まで、今でも記憶の中に鮮明に残っている。
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