双语阅读:【日本经典小说连载】东京塔(25)
东京塔这部小说从“我”一点点长大,一直写到“我”目送着母亲因病去世,各种生活细节每每令人感同身受,因而赚取了读者大把的眼泪,也当之无愧地成了哭泣小说的首席代表。
Ⅰ(25)
そんな親子関係を見て、小倉のばあちゃんはボクを猫かわいがりしていた。この子が不憫でならんというようなことをよく口にしていた。
いつの夏休みだっただろうか。
ボクはいつものように小倉に来ていた。もう、その頃、オトンはこの家には住んではいなかった。どこか別の場所で暮らしていて、ボクが来ている時は、たまにやって来る。
ばあちゃんは会うたびに、何度も同じことをボクに聞いた。
「一番好きなのは誰ね?」
ボクは毎回、同じことを答えた。
「ママ」
「その次に好きな人は誰ね?」
「小倉のばあちゃん」
そうね、そうねとばあちゃんは言う。
何番目まで聞かれてもオトンの名前は言わなかった。それは別にオトンが嫌いだったというわけではなく、なんとなく、この場ではオトンの名前を出さない方がいいのだろうなと、子供心に思っていたからだ。
その日、ばあちゃんの他に、もうひとり誰かがいた。それが誰なのかは憶えてない。
夏の昼間。電気を消した茶の間に扇風機だけ回っている。磨り硝子から洩れる光だけの薄暗い部屋だった。
その時も、ボクはばあちゃんに同じ質問をされていた。
「一番好きな人は誰ね?」
「ママ」
しばらくして、 ばあちゃんは、もうひとりの誰かと小声でなにか話をしていた。そして、ボクを横目で見ながら、憐れんだ声でこう言った。
「生みの親より、育ての親って、言うけんねぇ……」
それが聞こえた時、その時はどういう意味なのか、わからなかったけど、なにか嫌なことを言われているな、ということは、すぐにわかった。
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