双语阅读:【日本经典小说连载】东京塔(31)
东京塔这部小说从“我”一点点长大,一直写到“我”目送着母亲因病去世,各种生活细节每每令人感同身受,因而赚取了读者大把的眼泪,也当之无愧地成了哭泣小说的首席代表。
二(11)
「そしたら、男女合わせて百十二人ですか。磯貝さんは、その百十二人のキャプテンですか?」
すると、磯貝は首を横に振って、
「ページ?ボーイのキャプテンや」
と答えた。そして突然きつい目で哲之を睨んだ。
「アルバイトのやつは、責任感があらへん。どうせアルバイトやと思て仕事をしてるんや。俺は社員もアルバイトも区別せえへんから、そのつもりでおってや」
磯貝は、曲がりくねった薄暗い通路を歩いて、フロントの奥の事務所に出る扉を押した。そして「フロント主任」と印された名札を付けた男に哲之を引き合わせた。哲之が挨拶をしても、男は顔も見ず、予約カードをチェックしながら、「よろしく」とどうでもいいように言った。哲之はフロント主任の名札を見た。中岡峰夫と漢字とローマ字で書かれてあった。磯貝はロビーに出て、クロークの横にある部屋に哲之を案内した。哲之と同じベージュ色のボーイ服を着た若者が、テーブルの上に寝そべったり、椅子に凭れこんで煙草をふかしたり、花札をしたりしていた。
「きょうからアルバイトで働いてくれる井領哲之くんや。みんな、よろしくね」
ページ?ボーイたちは一斉に哲之を見たが、みんな無言だった。哲之は意地悪な連中ばかりではなかろうかと思い、決して喧嘩なんかせず、いわれた仕事をして働きさえすればいいのだと腹を決めた。
磯貝は哲之をともなって、エレベーターで二階にあがった。二階は宴会場だった。非常用の階段をあがれば早いのに、磯貝は一階一階エレベーターを使った。三階も宴会場で、四階は会議用の大きな部屋が並んでいた。五階から二十三階までが客室、そして二十四階にグリルと中華料理店が合った。ざっと案内されただけなのに、そのつどエレベーターのやって来るのを待ったので、ロビーに降りて来た時は六時を過ぎていた。
「二、三日で井領くんの名札が出来るから……」
そう言って、磯貝はフロントから少し離れた場所に立った。
「起立の姿で立つんでェ。だらしない格好で立っとかんようにな」
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