双语阅读:【日本经典小说连载】东京塔(44)
东京塔这部小说从“我”一点点长大,一直写到“我”目送着母亲因病去世,各种生活细节每每令人感同身受,因而赚取了读者大把的眼泪,也当之无愧地成了哭泣小说的首席代表。
Ⅱ(19)
小学校の頃、誰かの家でオカンと夕飯を御馳走になったことがあった。家に帰ってから早速、注意を受けた。
「あんなん早く、漬物に手を付けたらいかん」
「なんで?」
「漬物は食べ終わる前くらいにもらいんじゃい。早いうちから漬物に手を出しよったら、他に食べるおかずがありませんて言いよるみたいやろが。失礼なんよ。それは」
うちにはオカンが"泥棒に入られて。これ持って行かれるのが一番困る"と言って大切にしていた「ぬか床」があった。
茶色の瓶に入れてあって毎日混ぜていた。ばあちゃんに分けてもらったぬかを少しずつ足したり減らしたりしながら大事にしてきたもので、これのベースになっているぬかは百年ものだという。古いものほど、いい漬物が漬かるらしい。しかし、ぬかは傷(いた)みやすく、毎日、混ぜなくてはならない。数日、家を空ける時は誰かに「混ぜ」を頼んだりしているくらいだった。
朝でも、夕でも。その食事をする時間を逆算して野菜をぬかに漬ける。胡瓜に蕪、キャベツや白菜。昆布や人参。それぞれの季節の旬な野菜などを毎日漬ける。季節や野菜によって漬かる時間が異なるので、とても手間が掛ける。
夏は気温でぬかの温度が上がるため漬かりやすい。特に茄子のように更に漬かりやすい野菜を朝の食卓に出すには、目覚ましを掛け、夜中に一度起きて、茄子をぬかに漬けてなら、また寝る。するとボクが起きる頃には丁度良く漬かった、群青色に輝く茄子のぬか漬けが食卓に並んでいる。
そうやってオカンは、朝食に食べるぬか漬けのために、いつも目覚ましで夜中、明けた方に起きていた。ぬか漬け時差のために夜中に目覚ましで起きて、その強烈に匂うぬかの中に手を入れる。これほど睡眠のまどろみと逆行する行為も他にないだろう。
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