双语阅读:【日本经典小说连载】东京塔(92)
东京塔这部小说从“我”一点点长大,一直写到“我”目送着母亲因病去世,各种生活细节每每令人感同身受,因而赚取了读者大把的眼泪,也当之无愧地成了哭泣小说的首席代表。
Ⅲ(20)
筍の煮物とか茄子の煮物とか。作り置きしてあるものを少しずつ食べていた。
ジャーを開けると黄色くなりかけた御飯は入っている。一度に炊いて、保温(ほおん)したまま何日も経(た)っているようだった。
「ばあちゃん、これ食いよるん……?」
「ひとりやけ、それでええ……」
古くなった御飯とサロンパス匂いがした。
あまり煙突が高いので、さぞやお月さんけむたかろうと唄ったのも今は昔。炭坑の煙突から煙が昇ることは、もうない。
そして、小倉の製鉄所の巨大な煙突から煙が立ち上がることもない。閉山(へいざん)に鳴り、炉は閉まり、ふたつのボクの煙突は、もう昔のように煙を吐くことがなくなった。
大人たちが造ったもの、見えるものすべてがボクには寂れて見えた。
そして、高校受験も近づいてきたボクは、この町を出ることに決めた。
こことは違うどこかに行きたいという気持ちと、オカンを自由にしてあげなければという気持ち、そのふたつが同じ重さでボクを刺激した。そのまま、地元の高校にみんなで行くつもりは全くなかった。
どこかでもよかった。その時、参考書の巻末にあった特殊高校の紹介という欄で、大分県に美術の学校があるということを知った。
ここでいいや。それくらいの気持ちだった。美術の学校だったから、それが大きな理由だったわけではない。そこに決めた一番の理由はそこが公立高校だったからだ。家を出て、ひとりで暮らすことが、まずボクの目標だった。
秋の虫が鳴き始める頃、ボクはオカンにそこのことを話した。テレビではボクと同じ中学三年生を描いた「三年B組金八先生」が流れていた。
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