双语阅读:【日本经典小说连载】东京塔(93)
东京塔这部小说从“我”一点点长大,一直写到“我”目送着母亲因病去世,各种生活细节每每令人感同身受,因而赚取了读者大把的眼泪,也当之无愧地成了哭泣小说的首席代表。
Ⅲ(21)
「あんたが決めたんやったら、そうしたらええ」
オカンは静かに言った。
「ちゃんと、ひとりでできるんかね?」
「うん。がんばる」
「朝は起きれるんかね?」
「うん。おきれるよ」
オカンはひとりにしてしまう切なさと、オカンをひとりにさせてあげなければという気持ちと、どちらが正しいのかわからなかった。
息子のそんな情報を聞きつけたオトンは、オカンとは違って嬉嬉(きき)としていた。
「そりゃ、ええことやわい。お父さんもそうしたらええと思っとったんや。男は早よから外に出た方がええ。お父さんも十六の時から東京にひとりで行っとったんやけんの」
(あんたは地元におられんごとなったけんでしょうが……)。そう思ったが、なぜかオトンはうれしそうだった。
その頃、オトンは仕事がうまく転がっているようで羽振りがよかった。どうやら建築関係の会社を開いているようで、名刺には"一級建築士"の肩書きがついていたが、オトンがそんな資格を取得(しゅとく)したという形跡は知らない。
たぶん、小学生の肩たたき券のように、自分で免許を自分に発行したのだと思う。
オカンにはタンスや指輪や着物を買ってあげたらしい。免許もないのに車も買ったと言ってた。
病院の家にはばあちゃんがいないからか、羽振りがよくなかったからか、ボクの受験前には月に一度くらい顔を出して、一泊していくことが何度かあった。
オトンはトルコやラブホテル、宗教団体の建造物といった、周辺の住民が建ててもらっては困る物件を専門にやっているらしい。
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