双语阅读:【日本经典小说连载】东京塔(97)
东京塔这部小说从“我”一点点长大,一直写到“我”目送着母亲因病去世,各种生活细节每每令人感同身受,因而赚取了读者大把的眼泪,也当之无愧地成了哭泣小说的首席代表。
Ⅲ(25)
先生は玄関先でボクを見送ってくれながらそう言った。玄関まで続く廊下でも、白ジャージが先生に取り付いて、ゴソゴソやっているのが恥ずかしくて、早く、ここから出たいと思った。
帰りの車の中、うにの塩漬けを膝にのせたオトンは、白ジャージに言った。
「どうやった……?」
「いやあ、いけんかった。どんだけこそっと握らせようとしても、全然受けつけんでからねぇ」
やっぱり、この大人たちはそんなことを企んでいたのである。
「なんでそんなことするん!!そんなんせんでも合格(ごうかく)するわ!!」
ボクが怒ると白ジャージは黙った。嫌な気分のまま、しばらく車は走り、オトンがまた煙草に火をつけて、窓を開けながら言った。
「しかし、あの先生は立派なもんやのぉ。どんなお偉いさんでも、握らせたら返せんもんよ。特に、先生の名の付くもんはそうや。腹の黒い奴が多いけんのぉ。でも、あの先生はたいしたもんよ。本物の芸術家やのぉ」
そう言って、オトンはうにの塩漬けを「ほら、家で食え」とオカンの膝の上に置いた。
「写真機を持って行っとけばよかったねぇ」
オカンは別府の旅行が本当にうれしかったらしく、何度も写真を撮らなかったことを悔やんでいた。
そういえば、ボクら親子三人で写っている写真は、ボクが三歳までのものしかない。修学旅行行く時に、町のカメラ屋でオカンがカメラを買ってくれた。珍しくて、なんでもかんでも撮っていると、プリント代がすごい金額になってしまった。
あの時、カメラを持って行けばよかった。今、ボクは本当にそう思う。
別府での陰謀(いんぼう)に失敗したオカンだったが、ボクの受験のことは気になるらしい。初めて自分に興味を持たれている気がしていた。
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