双语阅读:【日本经典小说连载】东京塔(98)
东京塔这部小说从“我”一点点长大,一直写到“我”目送着母亲因病去世,各种生活细节每每令人感同身受,因而赚取了读者大把的眼泪,也当之无愧地成了哭泣小说的首席代表。
Ⅲ(26)
そして、スケッチブックにあったボクの絵を見て「もう少し描けるんかと思うとった」と深刻な表情になり、別府から帰った次の週に「お父さんが少しデッサンを教えちゃる」と小倉に呼び出された。
小倉駅近辺のトルコ街。駅から電話をするとオトンは忙しいらしく、トルコの店の名前を言って、そこまで来いと言う。
両脇にギラギラしたトルコ風呂の外装が立ち並び、客引きの声が前を歩くサラリーマンにからみつく。
スケッチブックを持って、指定された一軒のトルコの入口へ。店長風の男の人がボクを見つけるなり言った。
「なーさん所の坊ちゃんやろ?」
「はい」
「そうやろう。よー似とるもんねぇ!!」
ボクはオトンに似ていると言われるのが嫌いだ。店長風は勝手口のドアを開け、隣の建物に向かってオトンを呼んだ。
「おう、チビ、来たか」
オトンが曲尺を手に持ってやって来た。隣のトルコの改装をしているらしい。そして、建築費を未払いのまま経営者の逃げたトルコの経営にも首を突っ込んでいるらしかった。
「よう似とらっしゃるねぇ。息子さん」
「そうね、似とるかねぇ」
オトンはボクが似ていると言われるのが好きだ。「こっち来い」とオトンはボクをトルコの奥の奥へ連れて行った。
赤い毛足の長い絨毯。薄桃色の照明。ギリシャ風かつヌーブォー調してまた、中近東風の怪しい内装。オカンのセンスが炸裂(さくれつ)した異空間だった。
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