双语阅读:【日本经典小说连载】东京塔(111)
东京塔这部小说从“我”一点点长大,一直写到“我”目送着母亲因病去世,各种生活细节每每令人感同身受,因而赚取了读者大把的眼泪,也当之无愧地成了哭泣小说的首席代表。
Ⅳ(10)
Tさんに渡された分厚い本を抱きしめ呆けているボクに、バカボンは口から麵をはみださせながら聞いた。
「先輩、その本、なんやったん?」
「あぁ、聖書みたいよ」
筑豊の病院の家に戻ると、前野君がいつもすぐに会いに来てくれる。高校に入って身体も大きくなり、パンチパーマをあてた前野君が遊びの誘いにやって来た。
「パチンコ、行かんね?」
この町では、高校生になるとみんなパチンコをする。
ボクは縁側でTさんの聖書を読んでいる。
オカンに出してもらったカルピスを飲みながら、前野君はボクが働くのを待っていた。
「パチンコ、行かんね?」
「パチンコねぇ……」
「釣りでもよかばってんが……」
「釣りねぇ……」
「あんた、それ、なんを読みようと?」
「聖書よ、聖書」
「なんねそれ!?あんた別府に行ってから頭おかしくなったとやないね?そげなもん読みよう人ば初めて見たぁ!!」
手紙のやりとりをしているうちに、Tさんが敬虔なモルモン教徒であることがわかった。しかし、そんなことはゾロアスター教でもブードゥーでも関係ない。Tさんに対する熱く盛り上がった思いは、千ページ以上あるその教典を熱心に読ませる力があった。
「それ、なにが書いてあると……?」
「それ、わからんのやけどね……」
内容についていけず、へこたれそうになると、巻末に書いてあるTさん直筆の名前を眺めてヘラヘラしては、また気合いを入れて読み直した。
この年頃になっても、まだオカンにそういう話はできなかった。子供でいたいという気持ちではなかったにせよ、女に興味がある自分というものを見せたくはなかったのだと思う。オカンは夏休みの間、突然聖書を読みふけるボクを見ても、これといってなにも聞かなかった。お互いに距離を取って思春期のバランスを保っていたようだった。
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