双语阅读:【日本经典小说连载】东京塔(115)
东京塔这部小说从“我”一点点长大,一直写到“我”目送着母亲因病去世,各种生活细节每每令人感同身受,因而赚取了读者大把的眼泪,也当之无愧地成了哭泣小说的首席代表。
Ⅳ(14)
オカンに、こんなもん買ってもらっていいのだろうか?毎月の仕送りはすべてオカンからの振り込みで、オトンから来ることはない。真冬の冷たい風がエンジンの音と一緒にセーターのすき間に体当たりして来た。
筑豊のばあちゃんは相変わらずひとりで、黄色くなったジャーの中の御飯を食べていた。家の中は線香とサロンパスの匂いが充満していて、その匂いを嗅ぐたびに、なにか淋しい気分になっていた。膝を悪くして、和式トイレの便器の上には、簡易洋式トイレの便座が置かれてあった。
家財道具、自分の身体はどんどん古くなり、くたびれてゆく中で、毎日、日めくりのカレンダーだけが新しくめくられている。
誰もいなくなった家で、黄色くなった御飯を食べながら、心臓病の薬を飲み、映りの悪くなったテレビを観ている。ばあちゃんにとって、一日のどんな時が楽しいのだろう?人生のなにが楽しみなのだろう?どれあれば幸福を感じ、なにが起きれば悲しむのだろうか?新品のバイクの鍵をテーブルに置いて、その鍵起しに眺めるばあちゃんの横顔。同じ時代に生きていても、まるで自分と違う立場でその日を生きているばあちゃんの姿にボクは身勝手な切なさを感じてやりきれなかった。
小倉のばあちゃんも同じように、誰も居なくなった我が家にひとりで住んでいる。子供たち、孫たちは、それぞれ新しいことが連続する毎日の中で、息をつく暇ほどに働き回っている。ばあちゃんたちはそれとは逆に、毎日同じ風景と残像の中で、ただ息をつき、日めくりだけが新しくめくれてゆく。
始まりと終わりに見える物悲しさ。
小倉の街も、筑豊の町も、ライオンズも、別府の温泉街も、筑豊のばあちゃんの家も、小倉のばあちゃんの家も。
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