双语阅读:【日本经典小说连载】东京塔(146)
东京塔这部小说从“我”一点点长大,一直写到“我”目送着母亲因病去世,各种生活细节每每令人感同身受,因而赚取了读者大把的眼泪,也当之无愧地成了哭泣小说的首席代表。
Ⅴ(16)
この試験を受けたおかげでハッキリと自分は就職しないという決意を持った。オカンにもその気持ちを発表すると、オトンに話をしなさいと言うので、事務所に電話をかけた。
「おう。お母さんから聞いたぞ。就職せんて言いよるらしいやないか」
「うん。せん」
「どうするつもりか?」
「バイトはするけど、とりあえずまだ、なんにもしたくない」
「そうか。それで決めたならええやないか。オマエが決めたようにせえ。そやけどのぉ。絵を描くにしても、なんにもせんにしても、どんなことも最低五年はかかるんや。いったん始めたら五年はやめたらいかんのや。なんもせんならそれでもええけど、五年はなんもせんようにしてみぃ。その間にいろんなことを考えみぃ。それも大変なことよ。途中でからやっぱりあん時、就職しとったらよかったねぇとか思うようやったら、オマエはプータローの才能さえないっちゅうことやからな」
大学の卒業式。オカンと小倉のおばあちゃんが東京へやって来た。大学の卒業式に親や親戚が来てるような奴は、まずいない。
でも、ボクは恥ずかしいとは思わなかった。オカンとばあちゃんは緊張しながら、教授にも学生にも、その辺りで働くものすべてに頭を下げていた。
ボクよりもオカンの方が、この卒業に達成感を得ているのだと思う。卒業証書を渡すとばあちゃんとふたりでそれを覗き込み、涙を流して喜んでいた。新宿のホテルに宿をとっているオカンとばあちゃんと一緒に新宿へ行った。ホテルはオトンが手配したらしい。
卒業祝いになにか御馳走でも食べようとオカンが言うのだが、オカンはもちろん、ボクも新宿で御馳走というものを食べたことがない。わからない店に入るよりは、いつもボクが食べているのを食べてもらおうと思い、思い出横丁のつるかめ食堂にオカンとばあちゃんを連れて行った。
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