双语阅读:【日本经典小说连载】东京塔(153)
东京塔这部小说从“我”一点点长大,一直写到“我”目送着母亲因病去世,各种生活细节每每令人感同身受,因而赚取了读者大把的眼泪,也当之无愧地成了哭泣小说的首席代表。
東京には、街を歩いていると何度も踏みつけてしまうくらいに、自由が落ちている。
落ち葉のように、空き缶みたいに、どこにでも転がっている。
故郷を煩わしく思い、親の監視の眼を逃(のが)れて、その自由という素晴らしいはずのものを求めてやってくるけれど、あまりにも簡単に見つかる自由のひとつひとつに拍子抜けして、それを弄ぶようになる。
自らを戒(いまし)めることのできない者の持つ、程度の低い自由は、思考と感情を麻痺させて、その者を身体ごと道路脇のドブに導(みちび)く。
ぬるく濁って、ゆっくりと流され、少しずつ沈殿してゆきながら、確実に下水(げすい)処理場へと近づいてゆく。
かつて自分がなにを目指していたのか、なにに涙していたのか。大切だったはずのそれぞれはその自由の中で、薄笑いと一緒に溶かされていった。ドブの中の自由には道徳も、法律も、もはや抑止する力はなく、むしろ、それを犯すことくらいしか、残された自由がない。
漠然とした自由ほど不自由なものはない。それに気づかいたのは、様々な自由に縛られて身働きがとれなくなった後だった。
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