双语阅读:【日本经典小说连载】东京塔(159)
东京塔这部小说从“我”一点点长大,一直写到“我”目送着母亲因病去世,各种生活细节每每令人感同身受,因而赚取了读者大把的眼泪,也当之无愧地成了哭泣小说的首席代表。
"あんたが着てもいいし"と手紙にはしたためてあったが、せんだみつおでもこれは普段着にしないだろう。
結局、都合三十セットの白いタキシードが入っていた。タキシード上下。ベスト。ドレスシャツ。カマーバンド。黒ラメの縁どりがしてあるものや、クリーム色がかった種類もあるが、何しろ全部白である。黒ならまだしも、白のタキシードは結婚式の新郎以外で着ている奴を見たことがない。
しかしながら、この部屋にこの白いタキシードを置いたままにしていると、二年も服を買っていないボクだ、そのうち着るものがなくなって、吉野屋(よしのや)にもこれを着ていくようになるかもしれない。
早めに処分しなければと友達に相談したところ、今度そいつは日本青年館脇の公園でフリーマーケットに参加するという。傍らの方のスペースを少しばかり貸してもらえないかと頼んで、売ってみることにした。
当日、真夏の暑い日だったが、ボクはマネキンがわりに白いタキシードをフルセットで着込み、ワンセット八千円で売りに出してみた。予想通り、まるで売れない。
どう考えても欲しくないと思う。欲しいと思ったところで、使うアテも見つからないだろう。若者の眼には視界にも入らないようだったが、中年以上の男性は何かしらの興味を示す人もいる。手に取っているオジサンにはすべて「着てみて下さい」と声を掛けた。「フリオ・イグレシアスみたいですよ」と適当なことを言いオジサンを盛り上げていると、「じゃあ、ひとつ貰おうか」と財布を出し始めるものだから、ボクは驚いてオジサンに聞いた。
「なんに使うんですか?」
したらば、そのオジサン。趣味でカラオケ教室に通っているそうで、近近そこの発表会があるらしく、その時の衣装を探していたのだという。
なるほど、その方面で生かす道もあったかと、オジサンを中心に経営活動をしたところそこそこ売れ始めた。ノリのいいオジサンになると「二着買うから一万五千円にまけてくれ」と言い出すので、「なにをおっしゃいます、三着一万円で結構です」と、在庫処分に走った。
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