双语阅读:【日本经典小说连载】东京塔(192)
东京塔这部小说从“我”一点点长大,一直写到“我”目送着母亲因病去世,各种生活细节每每令人感同身受,因而赚取了读者大把的眼泪,也当之无愧地成了哭泣小说的首席代表。
東京の街を自分が運転している車で走っていることに不思議さを感じながら、車窓から改めて見直す東京の風景は新鮮に見えた。
免許取立てで、車の運転がしたくてたまらず、オカンを乗せて色んな街を走った。
銀座、六本木、青山、原宿、新宿……。環状線をぐるぐるぐるぐる回って、東京案内をした。寿司を食べてに、中華料理を食べに、焼肉を食べに。高そうな店に行くとオカンは勘定を聞きたがり、値段を言うと食ったものが消化しなくなるような溜息を洩らすので教えないことにした。
夜の芝公園を車で抜けていた時。
新緑の森に包まれた先には深紅(しんく)の東京タワーがオレンジ色の灯りで周辺を目映く照らしている。坂道を抜け、その真下を通りながらそれを見上げると、勇ましくパースの効いた巨大なはしごが、月に向かって掛けられているようだ。
ボクはオカンに聞いた。
「オレ、東京に来てもう十何年になるけど、東京タワーの上、展望台に登ったことがないんよ。オカンもないやろ?」
「あぁ、でも見晴らしがええで気持ちが良かろうねぇ」
「もう閉まっとるけん、今度連れて行ってやるよ」
「はい。楽しみにしとこう」
オカンが上京して一年が過ぎ、同居生活にも慣れた頃、ボクはだいたいのことがうまく運んでいるような気がしていた。
ヨード治療のために数週間の入院をすることもあったが、オカンの体調は悪くない。いや、他の六十代に比べても元気な方なのではないのだろうか?病気は完治していないとはいえ、声帯付近に転移したガンが大きくなっているという話も聞かない。
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