双语阅读:【日本经典小说连载】东京塔(194)
东京塔这部小说从“我”一点点长大,一直写到“我”目送着母亲因病去世,各种生活细节每每令人感同身受,因而赚取了读者大把的眼泪,也当之无愧地成了哭泣小说的首席代表。
ボクの仕事も忙しくなってきた。えのもとへの借金も返し終わった。オカンの寝ている時間でも自宅を兼ねた仕事場には始終人の出入りがある。物音に敏感なオカンは寝着のまま出て来てはお茶を入れようとする。仕事場が手狭いなったことも考えて、同じビルの十一階にもう一室借りることにした。
ボウリングの巨大ピンのそのまた上。窓からは新宿に向かう首都高速4号線がまっすぐに伸びる。夜には行き交う車両の赤と白のライトが無数に流れ続けてきれいだった。
仕事机と本とベッドを十一階に運び、オカンの用のテレビも買った。食事と風呂は七階を使い、仕事と寝る場所は十一階にする。子供部屋を増築(ぞうちく)したようなものだが、ボクにとっては快適な環境になった。
十五の時からひとり暮らしを始めて、誰にも気兼ねすることなくしたい放題、追い出され三味の生活を長年続けたボクだった、三十を過ぎて親とふすま一枚の距離で同居を始めたらば、テレビの音が大きいといっては叱られ、エロビデオもドキドキしながらイヤホンで視聴する緊張感。夜中まで仕事をしていても、早く寝なさいと注意される脱力感。自由だらけの十五年を過ごした後で、三十を過ぎた自分がまさかオナニーするのにも忍者のように爪先を立てて風呂場まで行き、シャワーで流して証拠隠滅をするようなティーンの生活をするとは想像もしておらず、そういったことがだいぶ窮屈に感じていた時だった。
オカンもこれで静かに眠れることだろう。
少しずつマシになってゆく。ちょっとはマシになってきたと思っていた。
確定申告だってする。自分が税金を納めるなんてことは未来永劫あり得ないことだろうと自信を持っていたのだが、そんな日は来る。
二年前まで遡って申告した。帳簿がオカンが眼鏡をかけながら丁寧につけた。
数年分の区民税と保険料が固まりになってやってきた。額を見て煙草を喫った。
それは、とりあえず、無視した。まだ、そこまでマシじゃない。しかし、オカンは役所と分割払いの手続きを取り付けているらしい。
ボクが十一階の部屋で寝るようになってしばらく経(た)った頃。昼飯時にオカンが言った。
「あんたにね、ベッド買うてやったよ」
「え?なんで?」
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