魔幻小说:《伯爵与妖精》卷一第四章4.4
「それなら、リディアさんにはすべてをお話しするのですね」
「いや、それはできない」
さっきからひとりで、彼が考え続けていたことだった。けれどどれほど悩んでみても、結論は変わらなかった。
リディアは、エドガーにとって仲間ではない。彼女がエドガーの策略(さくりゃく)には乗らず、ただ自分の意志でここにとどまっているのだとしても、それは彼の願いを理解したからではない。
リディアにとってエドガーが、卑劣な犯罪者であることは、動かしようのない事実。
にせ者が宝剣を手に入れるためには、どうあがいても卑劣な手段にたよるしかないのだ。
「リディアには、妖精の詩の謎を解いてもらう。その先は、本当にメロウが存在しようとしまいと、最初の予定どおりにする」
「……なぜです? エドガーさま」
「なぜ? 決まっているじゃないか。僕は青騎士伯爵の血筋じゃない、単なる泥棒だ。宝剣のありかを知るのにはリディアの協力が必要だが、彼女の仕事はそこまでだ。僕たちは、どんな手を使っても宝剣を奪い取らねばならないんだよ」
立ち上がり、彼はアーミンに歩み寄った。
「アーミン、そんなにリディアのことが気に入った?」
「何の罪もないお嬢(じょう)さんです。とても正直で、堂々と陽(ひ)の下を歩いている……。幸福な人を、傷つけたくはありません」
「わかるよ。僕だって、好きこのんで悪事に手を染めてるわけじゃない」
「でも、エドガーさまも、リディアさんのことは気に入っておられるでしょう?……だからこそ、わたしたちがにせ者だと知られても、手荒なことをせずに情に訴えたのではないのですか?」
ふ、と彼は笑った。哀しい青と残酷(ざんこく)な赤が混ざり合う、灰紫(アッシュモーヴ)の瞳を細める。
「……おまえは僕を買いかぶってるよ」
そのときエドガーは、かすかにゆれるカーテンに気づき、はっと意識を向けた。窓辺のカーテンの陰に、灰色の、ふさふさしたしっぽが覗(のぞ)いている。
リディアの猫。そう思うと同時に、大股(おおまた)で窓に歩み寄った彼は、猫が身をひるがえすより早く、がしりと首根っこを押さえつけていた。
「ニコ、立ち聞きかい?」
猫は、怒ったように鳴いた。
猫に話を聞かれたことが、問題になるだろうかと思いながらも、この猫の言葉がわかるとリディアが言っていたことを思い出せば、ほうってはおけない気がした。
それに、どうにもこれは、人間じみたところがある。
バカげた考えだとしても、エドガーは、たった今もてあましている苛立(いらだ)ちをニコに向ける。卑劣なことも残酷なことも、必要なら実行できると確かめたかった。
まっすぐ暖炉(だんろ)の方へ歩み寄ると、彼はまるで薪(たきぎ)のように、ニコを放り込もうとする。
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